羽田と那覇を何度も日帰り往復!コロナ禍に横行した“マイル闇修行”とは?

 クレジットカードや電子マネーをはじめ、街の商店や飲食店の会員カードなどあらゆるものに付随しているポイント。実際、そうした何かしらのポイントを貯めている人は多いはずだ。

 なかでもミドル世代の男性に人気なのが航空会社のマイレージ会員。一般的に特典航空券などに交換できるマイルとは別に、貯まったポイントに応じて優先チェックインや優先搭乗、ラウンジの利用、上級会員を毎年維持できるクレジットカード一体型カードの入会資格などさまざまな恩恵を受けることができ、そのために飛行機に乗る者も少なくない。そうした上級会員を目指すために搭乗を繰り返すことを航空ファンの間では“マイル修行”と呼ぶ。

 実は、飛行機の利用者が激減していた今年上半期、JALは2〜7月、ANAも1〜6月にそれぞれ搭乗ごとに得られる上級会員に必要なポイントの積算率が倍増。つまり、修行する者にとっては通常の2倍のペースで貯めることができたため、県外移動や不要不急の外出が自粛されていた緊急事態宣言中ですら「闇修行」と称して搭乗を重ねる者が後を絶たなかった。

「出張で飛行機に乗る機会もまったくないため、かねてから憧れていた上級会員なんて夢のまた夢だと諦めていたんです。けど、今年は2倍キャンペーンを打ち出し、会社も2か月近く出社停止になったため、その時期を利用してANAのプラチナ会員の資格をゲットしました! さすがに飛行機に乗りまくっていたことは周りにも言わず、SNSにもアップしませんでしたけどね(笑)」

 そう語るのは、千葉在住の30代会社員。航続距離が比較的長くてポイントもマイルも一度に多く獲得できる《羽田〜那覇》の日帰り往復を何度も行っていたそうだ。

「沖縄に着いても空港ターミナルから出ずにそのまま逆戻り。ポイント2倍キャンペーンの適用期間は、GoToトラベルでホテル代が安くなる前だったので利用しなかったんです。さすがに観光を楽しめる状況でもなかったですしね」

 それでも飛行機には乗り続けて上級会員になったわけだから、自粛期間中の修行には賛否わかれるにしても本人は満足げだ。

 現在、ポイント2倍キャンペーンは終了してしまったがGoToトラベルキャンペーンで安く利用できることもあり、これを活用して修行に励む者も増えている。興味のない人にはまったく理解できないと思うが、上級会員のステータスのために惜しげもなくカネを使う者たちも少なからずいるのだ。

(高島昌俊)

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