チェジュ航空、高評価だった「安全格付け」には表れない深刻な数字

 航空会社にとってサービスや機内の設備以上に重要なのが安全性。大きく報道されることのない小さなトラブルの発生の割合、それに対応する整備環境なども評価対象となり、これらの点に優れたエアラインほど信頼性が高いとされている。

 そんな航空会社の安全性の評価を行うのが「AirlineRatings.com」。現在はロシアを除く世界の航空会社を7段階(※「7」がもっとも安全、「1」が危険)で格付けしている。

 23年の格付けで同サイトに発表された日本の航空各社は、JALとANAが最高評価の「7」。エアドゥとジェットスター・ジャパンが「6」で、ソラシドエアとスターフライヤー、ピーチが「5」という結果に。いずれの航空会社も国際的には安全性に優れているようだ。

 ただし、気になる点もある。昨年末に韓国・務安空港で胴体着陸に失敗して爆発炎上し、乗員乗客181名中179名が亡くなったチェジュ航空の安全性も「6」となっていたからだ。韓国では大韓航空、ティーウェイ航空、ジンエアー、イースター航空と同ランクの高評価。特に大韓航空と並ぶ韓国を代表するアシアナ航空は「3」と低く、少なくとも23年の格付けに関してはLCCであるチェジュ航空が大きく上回っている。

「ただ、韓国国土交通部の資料によると、チェジュ航空の整備遅延率は1%、これは大韓航空やアシアナ航空の倍以上の数字です。また、チェジュ航空の整備士を名乗る人物がSNS上に《整備士は夜間に13~14時間働く。他の航空会社に比べて1.5倍多い仕事量》と劣悪な職場環境を訴えています。今回の事故の原因はまだハッキリしていませんが、整備の人員不足が表面化しているのは事実。安全性の格付けに整備士の労働時間などは反映されないので…」(航空業界に詳しい全国紙記者)

 業界では信頼できる指標とされていただけに、安全性が高かったはずの航空会社が起こした事故に衝撃を受けた関係者も多い。いずれにしても一刻も早い原因究明に期待したい。

※写真は墜落した機材と同型のチェジュ航空機

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