二階幹事長を「干し柿」と罵倒!? 河野太郎行革相を次期総理に推す「変人力」

「やる気がないなら担当部署を変える!」

 9月25日に行われた規制改革推進会議で、放送改革を巡ってネット配信に慎重な文化庁の職員に強気に迫り、背筋を凍らせたのは、河野太郎行政改革担当相(57)。菅政権の発足以降、ハンコ廃止や脱ファックス、役所の規制と縦割りの弊害をなくすことを目的とした「縦割り110番」など、ハイペースで慣例の改革に着手している。

 その河野氏は、安倍政権時代から「ポスト安倍」レースに名前が登場。政治一家のサラブレッドとして育ち、96年の衆院選に初当選した時から「総理を目指す」と、堂々と公言していた。

 そして、今年8月下旬に安倍晋三前総理(66)が辞任を表明すると、「野望」現実化のチャンス到来とばかりに、出馬の可能性を探る。色めく記者団には「仲間と相談したい」とアピールし、小泉進次郎環境相(39)も「出馬すれば支援する」と断言した。流れはできつつあったが、河野氏が所属する「志公会」(麻生派)会長の麻生太郎副総理兼財務相(80)が、菅義偉総理(71)支持で一本化することを決めてしまう。

「麻生氏に相談したら『(今回は)待て』と諭され、同じ神奈川選出の議員で兄貴分と慕う菅氏には出馬意欲を電話で伝えると『私が出る』と牽制されてしまった。強引に出馬するわけにもいかず、断念せざるをえなかったのです」(政治部記者)

 先の総裁選で野望実現は足踏み状態となったが、菅総理は「弟分」を行政改革担当相に指名。目玉人事として期待を寄せている。その狙いについて、政治評論家・小林吉弥氏の解説を聞こう。

「菅総理は安倍路線を継承すると言いますが、同じことを続けても新鮮味はなくなり、いずれ支持率は下がってしまう。そうなる前に、官僚の言いなりではないと国民にアピールするため、『壊し屋』の役割を任されたのが河野氏。今のところ信念で独自路線を突っ走っていますが、官僚を説得しつつ前進する手法で臨まないと抵抗にあってしまう。今後の手綱さばきで力量が問われるでしょう」

 実は当初、河野氏が就任するのは行革相ではなく、総務相のはずだった。ある「暴言事件」が起きたことで、状況が一変したのだ。自民党関係者が顔をしかめて明かすには、
「非公式の会食の場で河野氏が二階俊博幹事長(81)について『いつまでも干し柿みたいな顔をした人が自民党を牛耳るのはよくない』と排除を促す発言をしたんです。その場を和ませるためのジョークだったようですが、それを耳にした二階氏は大激怒。決定の直前になって『ポストを変えろ』と『懲罰人事』が発動され、省庁を持たない行革相に『降格』となりました」

「懲罰人事」でも大臣就任とは、なかなかの強運の持ち主である。

 自民党のキングメーカーすら、ジョークのネタにする。そんな河野氏は、安倍内閣で17年に外相として入閣するまでは脱原発を掲げるなど、党内で浮いた存在で、「変人」と評されることも。防衛相時代には相次ぐ台風被害に関連し、

「私はよく雨男と言われた。防衛相になってから、すでに台風は3つ」

 と述べるや、不謹慎だとの批判を受けてすぐに陳謝するハメに。派閥のボスの麻生氏も頭を悩ませているようで、18年10月に開かれた河野氏の政治資金パーティーで挨拶した際、

「(政治家として)何が欠けているかといえば、間違いなく一般的な常識だ」

 と、麻生節でエールを送ったものだ。まさか「失言王」「漢字間違い王」にそんな指摘を受けるとは驚きだっただろうが、これも「変人」の一端なのかもしれない。

「麻生氏は他にも『政治家として成長するため、仲間と宴席を共にする大切さを伝えている』と話していました。河野氏はお酒がまったく飲めないため、夜の会食の誘いを頑なに拒否し、つきあいはほとんどないんです」(政治部記者)

 上を目指さない政治家であればそれでいいのかもしれないが、総裁選で人づきあいの悪さが「弱点」になっていたのも事実。政治部記者が続ける。

「協力者はごく少数で、菅氏の出馬がなくても、届け出に必要な党所属の国会議員20人の推薦人は集められなかったとみられています。『仲間と相談したい』発言も、党内では『仲間って誰? エア仲間かな』とイジられていた」

 シンパの少なさに焦りを感じたのか、総裁選が近づくと、派閥の中堅や若手を集め、慌てて食事会を開き始めたという。

 そんな唯我独尊男がハマッているのがSNSだ。ツイッターのフォロワー数は204万人を超え、国会議員では安倍前総理に続く2位。3位の蓮舫参院議員(52)は51万人だから、その差と人気ぶりは明らかである。

「最近では、文部科学省職員が慣例に従って深夜に副大臣を出迎えると〈ヤメレ〉とひと言、ツイッターで批判し、ワイドショーで取り上げられていました。フォロワーに『カッコイイ』とつぶやかれたら『知ってる』と返したり、時には恋愛相談に乗ることも。ワードセンスが抜群で大喜利のように盛り上がることもあり、若者のフォロワーが急増しています」(政治部記者)

 8月末、共同通信による「次の総理にふさわしい人」の世論調査で3位に選ばれた背景にも、SNS効果があったはずだ。一方で、やりすぎて批判を浴びることも。

「『沖縄タイムス』の特定の記者に対し、『ブロック機能』で投稿を見られなくしたことがわかり、大臣としての姿勢が問題視されました。ただ、以前から批判的なユーザーは次々とブロックし、ネット上で『ブロック太郎』と呼ばれているので、意に介していないようです」(自民党関係者)

 一切媚びないのが、河野流のSNS術なのである。

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