出発地に引き返すフライトが大人気!抽選倍率150倍の「プラチナ旅行」とは?

 遊覧飛行といえば、セスナ機やヘリコプターなどの小型機で上空からの景色を楽しむ。そんなイメージを抱いている人が多いだろう。だが、コロナ禍で飛行機の利用客が激減する中、自社便に使用するジェット機を使った遊覧飛行を企画する航空会社が国内外で増えている。

 JALやANAのような国内大手エアラインが従来行っていた遊覧飛行は、せいぜい元日の初日の出フライトくらい。だが、JALは9月26日に国際線仕様の機材、B767-300ERを使った成田発着の約3時間半のフライトを実施。それも空の景色がより堪能できるようにと夕方〜夜にかけての時間帯で、ハワイ便用のメニューをアレンジした機内食を提供し、乗客全員に国際線用のアメニティセットと搭乗証明書もプレゼントした。

 一方、ANAも昨年5月から成田〜ホノルル便で運用を開始した総2階建ての大型機A380を使い、富士山周遊の1時間半の遊覧飛行を8月と9月に企画。ウミガメのペイントが施された同社の新しい顔ともいえる機材ながら新型コロナの影響で3月から運航停止。しかし、遊覧飛行で気軽に乗ることができるとあって応募が殺到。第1回の抽選倍率はなんと約150倍。第2回も110倍で超プラチナチケットとなり、遊覧飛行の潜在的な需要の高さを証明した。

 大手2社以外でもフジドリームエアラインズ(FDA)は、9月20〜21日に名古屋空港発着の富士山遊覧フライト、10月10日にも神戸空港発着の遊覧飛行とディナー付きの海上クルーズ船がセットになった日帰りツアーをそれぞれ実施。いずれも即完売となり、今後は遊覧飛行を含む旅行商品に力を入れていくことを打ち出している。

 ほかにもスターフライヤーも10月17日、機内でプラネタリウムを上映する特別フライトを北九州空港発着で行うという。

 鉄道業界では移動の手段ではなく乗ること自体を目的とした観光列車が近年ブームとなっているが、これらの遊覧飛行はいわば「観光飛行機」といったところか。コロナ禍で利用客が激減し、経営悪化に苦しむ航空各社。業界にとっても遊覧飛行が新たなビジネスとして今後定着していくかもしれない。

(高島昌俊)

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