スマホゲームをめぐる議論が再燃しそうだ。
今年4月に施行された香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」に対して、同県在住の男子高校生と母親が9月30日、県を相手取り、損害賠償を求めて提訴に踏み切ったのだ。
「18歳未満の在住者は、ゲームの利用が1日60分、スマホにいたっては夜の10時までとするもの。保護者には、家庭内でそのルールを守らせる努力義務を課すとともに、有害性が認められるサイトへアクセスできなくするフィルタリング機能の導入を推奨。いずれも罰則規定はありませんが、男子高校生は幸福追求権など基本的人権の侵害にあたると主張。裁判での争いには全国から注目が集まりそうです」(社会部記者)
行政によるネット規制の是非については意見が分かれるところだが、「ネトゲ廃人」などの言葉に象徴されるように、いい年をした大人が深刻なネットゲーム依存症に陥るケースが増え続けているのは事実である。
「自分でやめなきゃ、やめなきゃ…と思っていても、ダメなんですよね。一度だけ、スマホの充電器をわざと壊して家で充電できないようにしたこともありましたが、それでも依存から抜けられませんでした」
こう話すのは、ネットゲームにハマり、膨大な課金が元で借金を作り、さらには性産業バイトまではじめたというOLの吉田幸子さん(仮名・34歳)。
「本格的にハマったのは4年ほど前です。それ以前から様々なオンラインゲームに手を出していたのですが、その頃、流行っていた某サッカーゲームにハマってしまって。最初は課金しないでプレイしようと決めてたんですが、このゲーム、初心者は課金しないとほとんど勝負にならないんですよね。一度、ガチャで超有名プレーヤーを引き当ててしまうとヤバいですね。その後にハマった大昔からある某アイドル育成ゲームの最新バージョンにしてもそうなんですが、自分のグレードが上がるという感じ。それってバーチャル世界特有じゃないですか。リアルで会社とか学校とかいけば確固たるヒエラルキーがあるわけで、その中で立場を上げるって実際問題、無理なわけですよね。リアルの方がムリゲー(笑)。でも自分のグレードを守るために課金が必要になる…。2年ぐらいして、気がついたら引き落とし額が50万円に達していて、カードローンも限度額。不思議なんですが、ゲームのポイントも一緒で、カードの請求額も現実味がなくなるというか…。現実社会もバーチャルな感覚になるんですよね(笑)」
周囲の同僚が、ブランド品で着飾り、オシャレな飲食店でデートを楽しむ一方、幸子さんは着るものにも困る生活。給料だけで生活することが厳しくなると、複数の消費者金融から借金を重ねたという。
「穴が開いた肌着をつけて会社に行ってましたよ。さすがに借金がふくらんでくると、危機感も募って、性産業のバイトに応募していました。それほど抵抗はありませんでした。彼氏とかもいませんし、結婚の予定もないですし。週末メインで、世間の給料日の後やボーナス後は詰めて入る感じですね。広告の顔出しはしてません。指名のお客さんも増えてきて、結構安定してきてますね。課金の方は、自分で課金制限かけてますが、やっぱり戻しちゃうんです。最近では、夜のお客さんがアイテムに見えてきたりして、ますます依存症がひどくなっている気がします(笑)」
個人の自由か、社会的な病理か…今後もネットゲームの問題は様々な議論を引き起こしていくのだろう。
(オフィスキング)