巨人・原監督の“細かすぎる継投策”が拝めるのも今シーズン限りかもしれない。
9月7日、甲子園球場の阪神-巨人戦。巨人の3点リードで迎えた7回裏、原采配に球場内がザワついた。2アウト1塁3塁の場面、マウンドには、このイニング2人目となる中継ぎの大竹寛。左のボーアを2ストライクまで追い込んだところで3人目の大江竜聖をマウンドに送り出した。よほどのアクシデントでもない限り、打席途中での投手交代はなかなか拝めるものではない。
「その直前、ボーアにはライト方向にホームラン性の特大ファウルを打たれています。試合を見ていた限り、このファウルで大竹に見切りをつけたかのように思いましたが、原監督の試合後の談話では、打席途中での投手交代の可能性はコーチや大江にも伝えていたそうです。実際、打席途中での交代は8月28日の中日戦でも見られました。2点リードを許した7回、中継ぎの鍵谷陽平が代打・井領雅貴にファウルで粘られると、ここでも2ボール2ストライクの打席途中で大江を送り込み、たった1球で三振に仕留めています」(スポーツ紙記者)
阪神戦においては、代わった大江がボーアに三塁強襲のヒットを許して1点を献上。続く梅野隆太郎を三振にきって、この回を最少失点で切り抜けると、その後の8回を中川皓太が無失点、9回をデラロサが1失点におさえて3対2でゲームをものにした。翌日のスポーツ新聞各紙は7回の継投策について「大胆采配」「執念の継投」と書き立てた。
こうした“原采配”もあって、巨人は首位を独走。9月8日時点で2位のDeNAに8.5ゲーム差をつけているが…。
「大リーグでは、試合時間短縮を目的として、今シーズンからワンポイントリリーフが禁止となっています。マウンドに立った投手は最低でも3人の打者と対戦するか、そのイニングを投げ切らなければいけなくなりました。このルール変更は、早ければ来シーズンからNPBにも適用される見通しです。申告敬遠や映像によるリプレー検証など、これまでNPBは“メジャー流”に追随する動きを見せてきたので、ワンポイント廃止も自然な流れと言えます。そうなれば、1人の打者に対して2人の投手を送り込む“原采配”も当然、今季限り。ルール変更については、代表者会議などを経て話し合いが行われますが、もしも今季のセ・リーグで巨人が大差で優勝となれば、“原采配潰し”が加速するのは必至。“2ストライクの男”こと大江の大胆な起用もできなくなるでしょうね」(球界関係者)
かつて“松井秀喜キラー”として名を馳せた阪神の遠山奬志が思い起こされるが、ワンポイントの救援投手はグラウンドから姿を消してしまうのか。球場外の動きからも目が離せそうにない。
(渡辺俊哉)