寝るだけで「免疫力アップ」の新常識!麻製シーツがウイルスに強い理由とは?

 酷暑の中でコロナ対策のマスクは外せず、熱中症の危険とダブルパンチ。そして、エアコンをつけっぱなしにでもしなければ、汗だくで寝苦しい熱帯夜も待っている。熱中症を回避しつつ、熟睡して体を元気にする方法はないものか。

 そもそも熱中症の原因が体の「冷え」にある、と言ったら、たいていの人は驚くはずだ。実はこれ、東洋医学の考えに基づくもの。例えば、人間の体の根幹ともいえる「腸管」は、西洋医学では口からノド、内臓を通って直腸、肛門に至る一本の管ととらえる。ところが東洋医学では、口やノドなど、体の表面にある部分は「表(ひょう)」、腸など体の奥の部分は「裏(り)」、その中間部分を「半表半裏(はんぴょうはんり)」ととらえるのだ。

「表」の部分は外気に影響されて熱を持ちやすく、またウイルスなどの侵入があれば、それに立ち向かうために表面温度を上げて熱を出す。すると、もともと太陽光が届きにくく、冷えやすい「裏」の温度はさらに下がる。

 こうして「表」と「裏」との温度差が激しくなっていくと体内のバランスが崩れ、内臓の血行や代謝が悪化して、自己免疫力も落ちる。熱中症はその極端な状態で、風邪やインフルエンザによっても引き起こされるし、わずかな体の変調によっても生じる。

 つまり問題は、この「裏」部分の冷えなのだ。これはなにも冷え症体質の人ばかりではなく、誰にも起こりうる危険である。

「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系)にも出演し、長崎で東洋医学による診療を行う田中保郎医師によれば、

「これを一般的には、体全体が熱を持つ日射病などと混同する傾向があるんですね。だから病院の治療費が高いアメリカなどでは、庶民は熱中症で熱が出ても、薬局の解熱剤を飲んで治してしまおうと考える人も多い。逆効果ですよ。冷やしてはいけない『裏』の温度がさらに下がってしまいますから」

 西洋医学の医師が、風邪をひいた患者に漢方薬の葛根湯を処方することがある。厳密に言えば、この使い方も間違っていることがあるという。田中医師が続ける。

「葛根湯は『表』の体温を上げて、外からの菌の侵入を防ごうとする薬。『裏』にまで効果はない。サウナも卵酒もショウガやネギも、結局は『表』に効くものなんです」
「表」と「裏」との温度のアンバランスは、コロナ禍においても深刻な問題となっている。免疫力低下によってウイルスが体内、特に「裏」部分に侵入しやすい状態になっているのだ。

 漢方薬でいえば朝鮮人参、食べ物でいえばニンニクなどが「裏」を温める効果が見込めるとされるが、実はもうひとつ、日常生活で最も大切なものが「睡眠」なのである。
 寝苦しい夜、エアコンをつけっぱなしにして眠ることも珍しくない。それで体の「表」の温度が下がるのはやむをえないとしても、「裏」まで下がってしまうのは防がなくてはならない。
 そもそも「心地よい睡眠」は、過度のストレスに悩む現代人に欠かせないもの。だが、「不眠症」に悩む人は少なくない。医療関係者によれば、
「長期的睡眠障害はうつ病を引き起こす要因になるし、血圧の上昇による脳卒中など循環器系の病気を誘発します。体のバランスが崩れることで、糖尿病など生活習慣病のリスクが増大する危険性も考えられる。さらには、体が持つ免疫力を減退させます」

 夜眠っている間こそ、一日の活動で受けたストレスを解消し、身に降りかかってくるもの、特に病気を引き起こすウイルスなどから体を守る準備ができるのだ。十分な睡眠がとれないと、免疫システムがうまく働かず、感染症を撃退するための身体機能が低下し、感染症にかかるリスクも高まるのだという。

 つまり、安眠を得られるうえに体の「裏」を温めてくれる睡眠が必須となる。睡眠アドバイザーによれば、

「まずは、質のいい睡眠を得られる寝具を選ぶことです」

 夏の寝具の目的は、風通しよく、涼しく、汗を吸ってくれる、だ。よく流通しているものを見てみよう。

 例えば、ひんやりジェル入りマットレス、涼感敷布団、麻シーツなどが代表的だが、

「ジェルは確かにひんやり感を得られる一方で、汗を吸いません。数十分経過すると、体が接触していた部分が温まるという欠点もあります。涼感敷布団や敷きパッドは汗を吸収してくれますが、よりいいのは、麻製のものでしょうね。同時に遠赤外線放出機能を持つものなら最適です」(睡眠アドバイザー)

 酷暑に遠赤外線と聞いて、これまた驚く人は多いだろう。植物性の炭素繊維を使ったもの、トルマリン鉱石を微粉末にして使用したものなど、遠赤外線を放出させるマットは数多くある。この遠赤外線はいわば石焼き芋と同じで、体の中に入って初めて「熱」になり、体内の「裏」を温めてくれる特徴がある。電気毛布のように「表」から温めるわけではないので、夏の暑さの中でも「裏」の温度を下げず、その心地よさは安眠に最適だという。

「天然繊維の中でも最も涼しい繊維といわれる麻は、爽やかな涼感が夏場にピッタリ。そのうえ、綿の4倍ともいわれる吸水性で汗を吸い取り、通気性にも優れている。そして麻には、ウイルスなどが繁殖しにくい耐腐食性も備わっているのです」(睡眠アドバイザー)

 いつ終わるとも知れないコロナショックと猛烈残暑が、人々を熱中症とストレス地獄へと追い詰めていく。それを乗り切り、感染症撃退と免疫システムを正常化させるキーワードは「麻と遠赤外線の環境で寝るだけ」だったのだ。

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