連日、熱中症による緊急搬送のニュースが報道される中、人命に関わるといっても過言ではない重大な「盗難被害」が相次いでいる。
埼玉県警察本部生活安全総務課は7月21日、Xの公式アカウントを更新した。その内容は、エアコンの「室外機」や「給湯器」の盗難が増加しているというものだった。熱中症は室内でも多発するため、エアコンの使用は必須とも言えるが、当然ながら、室外機がなくなればエアコンは使用できない。もはや単なる窃盗を超えた危険極まりない犯罪なのだ。
「県警では、被害に遭わないために、『室外機、給湯器を盗難防止用ネジやワイヤー錠で固定する。防犯カメラやセンサーライトを設置する。敷地内に入られないよう門扉等を施錠する』などと注意喚起しています」(社会部記者)
また、7月末には「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)が、東京・八王子市で窃盗犯とみられる男が、室外機のようなものや、束になったケーブルを車に積み込む様子を映した防犯カメラの映像を放送している。
では、なぜ室外機が狙われるのか。背景には昨今の銅価格の高騰があるようだ。国内の銅価格はここ1年でおよそ30%上昇している。1トンあたり30~40万円も値上がりしており、そのため、銅やアルミを使っている室外機がターゲットにされていると見られる。
「エアコンの室外機は通常、2本の銅管と電線で結ばれており、一見、太く見えますが、中は空洞で簡単に切断することができます。使用されている銅やアルミニウムを金属買い取り業者などに持ち込めば、かなりの額になる。特に集会所や公民館、建築中の住宅や空き家など、夜間に人の出入りが少ない場所は狙われやすい。また、一般の家庭でも、朝起きたら冷房が止まっていたという被害報告もあります。センサーライトを設置し、ワイヤー錠などで地面や建物と固定するなどの対策をしたほうがいいでしょう」(防犯アドバイザー)
犯人は余計な手間を嫌うため、室外機をフェンスで囲むだけでもかなり有効だという。命にも関わってくる室外機の盗難。「我が家は大丈夫だろう」と過信せず、防犯対策を怠らないようにしたい。
(ケン高田)