コロナ禍でその存在意義が問われつつあるオフィス。ただでさえ業績が悪化している中で、「テレワークを導入して出勤するスタッフが少ないのに光熱費を支払うのはばかばかしい」「感染予防のため換気で窓を開けているので冷房をつけてもあまり意味がない」といった声が聞かれますが、企業としてはムダなコストは少しでも抑えたいところです。
そこでご紹介したいのが「ビルの省エネエキスパート検定」。以前、ここで取り上げた「家庭の省エネエキスパート検定」と同じ財団法人が運営元で、姉妹資格と言える位置づけの検定です。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉毎月の電気使用状況を〝見える化〟した電子式電力量計のことを【1】スマートメーター、【2】スマートブレーカー、【3】アンペアメーター、【4】デジタルブレーカーのうち何と言う?
〈問2〉一般的にいわれているLED照明の寿命は【1】1000時間、【2】2000時間、【3】4000時間、【4】4万時間のうちどれ?
実際の問題も選択式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が【1】、〈問2〉が【4】となっています。
試験開催地は東京、名古屋、大阪などの各会場となっており、試験の難易度はやや高め。出題される問題量も多いため、公式テキストでしっかり準備しておく必要があります。
近年は政官民一体となった環境保全への取り組みが見られます。小池百合子東京都知事が提唱する「スマート・シティ」(AIやIoT技術を駆使した環境配慮型都市)構想が話題となり、スマートハウスならぬ「スマートビル」なるものも登場。最先端のテクノロジーで省エネを実現し、屋上や壁面に緑化工事が施されているのが特徴です。
こうした環境配慮型のビルが増えていく中、さらなる改善に向けて、この検定で得た知識を活用してはいかがでしょうか。
まずは照明のコストを見てみましょう。ある電機施工会社の試算によれば、1個130円の白熱電球を4万時間使った場合、かかる費用(本体価格と電気料金)は5万2720円。これがLEDなら8660円と、およそ6倍もの差が出るそうです。
また、水道光熱費の面でいえば「音姫」(用をたす音をカモフラージュするための擬音装置)を導入するのも手です。排泄時の音を聞かれたくないために何度も水を流す人は多く、「TOTO」の試算によれば、この装置の導入によって1000人規模のオフィスなら年間約386万円もの節約につながるそうです。
まずはご自身の職場を見渡してみて、見直せるムダがないか、一度チェックしてみては? 改善点を提案することで社内の評価も上がるはず。もしくはこの資格を武器に、省エネコンサルタントとして独立するのもいいでしょう。実際、成功報酬型の料金で活躍されている方は多いそうです。
企業のコストにも環境にも優しい、将来性十分の資格と言えるでしょう。
儲かる指数:86
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は約700。