二軍降格は時間の問題!? 不振のボーアに「韓国の打点王」がポジション奪取宣言

“代役”ばかりの野球人生を歩んできた男に、再び大きなチャンスがめぐってくるかもしれない。大物スラッガーの不振で、一人の二軍選手がにわかに注目を集めている。

 開幕一軍を飾れなかった阪神タイガースのジェリー・サンズが二軍の全体練習で、本職の左翼ではなく、一塁の守備に入った。それを見た関西メディアは、巨人3連戦をノーヒットで終えたジャスティン・ボーア内野手のことを思い出した。平田勝男二軍監督は「選択肢を広げるため」としか言わなかったが、ボーアの打撃に上向く兆しが見えなければ、サンズが“代役の一塁手”になることも十分に考えられる。

「サンズも打撃面で期待されて獲得が決まった選手です。韓国プロ野球で昨季、打点王のタイトルを獲得しましたが、それは代役で掴んだチャンスだったんです」(特派記者)

 そもそもサンズが韓国でプレーしたのは、2018年途中、韓国のネクセン・ヒーローズ(現:キウム・ヒーローズ)に拾われたからだ。同年、SFジャイアンツ傘下の2Aでシーズンをスタートさせたサンズだが、メジャー昇格の可能性はほとんどなく、前年オフから「もっと良い話があれば」と代理人を通じて、国外チームにも売り込みを掛けていた。そんな悶々としたときを過ごしていた矢先に、韓国のヒーローズが緊急獲得のオファーを送ったのである。

「ヒーローズがクリーンアップを予定して獲得したアメリカ系外国人選手が大不振で、サンズの緊急獲得が決まりました。シーズン途中からの25試合にしか出ていませんが、本塁打12、打点37と勝負強さを発揮しました」(前出・特派記者)

 サンズはヒーローズと19年のシーズンも契約し、打点王に輝いた。米マイナー時代も“代役”だった。主力選手が故障すると、昇格。復帰が決まったらまたマイナー落ちというのを繰り返してきた。サンズは阪神の入団会見で「ショートも守れる」と言った。NPBの公式プロフィールによれば、身長193センチで体重は102キロ。力士のような体格からはとても俊敏な動きは想像できなかった。ジョークかと思ったが、「チャンスがあればどこでも守る」という意気込みを示したかったのかもしれない。

「他の選手と連携プレーのサインも確認していました。サンズはボーアからレギュラーを奪い取るチャンスと捉えているようです」(在阪記者)

 日本球界では、米球界時代の実績は通用しない。サンズの一塁守備は「ボーアを発奮させるため」とされているが、代役で少ないチャンスを掴んできたサンズは、そうは思っていない。二軍戦で一塁守備の実戦テストが行われる。その結果次第では、矢野阪神は外国人選手の入れ替えを行うことになりそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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