香港、尖閣、エベレストも標的に! 中国「ドサクサ国境侵犯」のエゲつなさ

 今なお各国が新型コロナ被害に喘いでいる中、中国の測量隊がエベレスト(チベット名チョモランマ)登頂の映像を誇らしげに配信したのは5月27日のこと。

「チョモランマの山頂はネパールと中国との国境上にあり、北面はチベット自治区に属しています。また、ネパールと中国それぞれが主張する標高に4メートルほどの“誤差”があり、論争を繰り返してきました。ただ、標高については諸説あり、地殻変動などの影響によって年々変動していると考えられているため、海外メディアでは『正直、どうでもいい”不毛の論争”』などと揶揄して度々報道しています」とは国際ジャーナリストの弁だ。

 今回の登頂は、山頂から5Gネットワークを利用してベースキャンプに電話をかけ、電波状況の良さをアピールする狙いがあったようだが、ネット上には、《チベット、ウィグル、法輪功、台湾、香港、南沙諸島、尖閣諸島……今度はネパールを狙っている?》《この映像、『世界一の頂は我々の管理下にある』とでも言いたげだな!》といった声が溢れた。

 その背景にあるのが、中国のその異常なまでの領土的野心の強さにある、というのは前出のジャーナリストだ。

「中国(チベット自治区)と接するブータン北西部に中国人民解放軍がじわじわと侵入し、結果、中国領にしてしまったのは2006年のことですが、ほかにも、フィリピン南西部のスプラトリー諸島(南沙諸島)は、フィリピンからアメリカ軍が撤退した1992年に撤退した後、中国軍が侵入し領土を侵略しました。じわじわ忍び寄って世界的な関心が高まらないうちに自分の領土にしてしまう。それが中国のやり方なんです」

 実際、「新型コロナ対策を一緒に頑張ろう」と言っていた矢先の5月20日、沖縄県石垣市の尖閣諸島沖では中国海警局の船4隻が約2時間にわたって日本の領海に侵入し航行。尖閣諸島沖での中国公船の領海侵入は2月13日以来、今年5回目となったが、

「ウィグルやチベット同様、一度狙った獲物は必ず奪い取るかのような執念。それが中国という国の恐ろしさです。ただ、今は新型コロナの影響で国際社会から孤立するのを恐れ、日本との協力はなんとか維持したい。だから、いますぐに軍事行動に出ることはないでしょうが、狙った獲物は逃さない。今奪えないなら、50年先、100年先でも時期が来たら必ず奪う。諦めない。その姿勢は未来永劫変わらないでしょうね」(前出のジャーナリスト)

 そんな中国の強行姿勢をそのまま示したのが、今回の国家安全法制導入による香港の民主化デモ弾圧だろう。中国の国家安全法制導入に対し各国が懸念を示すなか、「それでも、中国当局の間では、新型コロナ関連での中国への批判は予想よりも大人しかったという見方もあるそうです。何十万人と死者を出したコロナでこの程度なら香港で何をやっても許されるはず、との意見もあり、国家安全法導入に踏み切ったとされていますからね。それが事実だとしたら、開いた口がふさがりません。そう考えると、エベレストについても、最終的には領有権を主張し、山頂に軍事用レーダーやミサイルなどを設置、インドを軍事的に牽制するという可能性は否定できない。中国はそのくらいなんでもあり、ということです」(同ジャーナリスト)

 尖閣問題を抱える日本も、気がついた時にはあとの祭り、とならないよう格段の注意が必要かもしれない。

(灯倫太郎)

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