選挙、中国外交、詐欺…「マスク=お金」理論でいろんな“陰謀”が見えてきた

 さんざん批判を浴びつつも466億円の予算をかけたアベノマスクは配布が開始されたものの、先立って行われた妊婦用マスクには異物混入が発覚し、さらなる批判の矛先となっている。

 今やマスクはその希少価値から貨幣のような性質さえ帯びている。ソ連崩壊直後はタバコの「マールボロ」がルーブルはもちろんドルより貨幣として有用だった。これが今の「マスク」に当てはまる。だから、選挙の票集めにも利用される。

「4月26日に市長選が実施される千葉県茂原市では、現役市長が集会で有権者にマスクを配ったことが問題になっています。市長は個人的にサンプルでもらったものを配っただけで問題はないとしていますが、地元市民からなる政治団体が公職選挙法違反に当たるのではと、刑事告発しています」(週刊誌記者)

 是非の判断は当局に委ねられるが、現況から考えて「袖の下」と見られても仕方がないのではないか。

 自治体レベルでのアベノマスクも増えている。人口10万人当たりの感染者数が東京に次いで2番目(4月17日現在)と、感染者100人を超えて急増中の福井県では、4月23日以降、県内の全世帯にマスクの購入券を配布する。地元のドラッグストアにその券を持っていけば、最大で50枚入りのマスクを2箱購入できるという。1箱2350円かかるが、いわば購入する権利をバラまいているようなものだ。青森県の今別町では4月21日、町内の1217戸に不織布マスクを配布した。こちらはアベノマスクより多く、1人あたり5枚の配布だ。

 マスク(=カネ)が動くところにつきものなのが詐欺だ。「マスク販売」の表示をクリックしたら個人情報だけが盗まれたり、全く別のものが届いたりする詐欺が横行。なかには、「おやじ、マスクあるけど」という電話からあれやこれやの口実で現金を掠め取る「マスクあるけど詐欺」まで発生しているという。

 さて、こういったペテン的な押し売り外交を行っているのが中国だ。

「例えばイタリア、パキスタン、ラオス、ミャンマーといった、『一帯一路(アジアとヨーロッパをつなぐ物流ルート)』構想に連なる地域を中心に、約130の国々、国際機関に医療用マスク、防護服、検査キットなどを提供する中国のその態度が『マスク外交』と揶揄されています。問題なのは、EUではドイツ、フランスが自国の防衛に必死で、周辺国の援助にまで手が回らなかったこと。一方で中国が援助の手を差し伸べたことで、EU内での連携にヒビが入っています。もともと新型コロナ発生源の悪者扱いだったところが、マスクの提供で今度は救世主に一転。低コストの投資で大きいリターンを目論む陰謀ではないかと見られ、非常に厄介かもしれません」(ジャーナリスト)

 他国のピンチに「奇貨」で恩を売るのは、もはや中国のお家芸か!?

(猫間滋)

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