ついに「SHARP」ブランドのマスクが登場した。4月21日から同社の専用販売サイトにて個人向け不織布マスクの販売がスタートしたものの、一部の購入希望者からは「なかなか販売サイトにつながらない」との声があがるほどの人気を示し、この状況に、シャープの公式ツイッターでは、「密、密で申し訳ありません。どうかご容赦ください」とシャレの効いた”緊急謝罪”の声明を発表している。
気になる価格は1箱50枚入りで2980円。消費税が別途かかるほか、全国一律で税込660円の送料が必要で、実際のコストは1箱4000円近くになる。
「この価格設定に対する反応は二分されており、《信頼のシャープ製だからこれくらいは当然》《いまはネット通販でもこれくらいする》という肯定派がいる一方で、《これなら転売ヤーの価格と変わらない》《大企業なのにボッタクリって?》という否定派も。シャープの公式ツイッターでは『ちょっとお高い点もすみません』と謝りつつ、『決してぼったくるための値段ではない』と説明しています」(週刊誌記者)
たしかにこの時期、ネット通販では1箱3000円で購入するのもほぼ無理なもの。しかし新型コロナ禍の以前には1箱500円程度が相場だったこともまた事実であり、それがなぜいきなり2980円になるのだろうか。
「シャープ製マスクでは、製造ラインの設備投資が重くのしかかります。同社が2本新設したマスク製造ラインは1本数億円もする代物で、個別包装に必要な機器も必要。経済産業省からはマスク製造の補助金を受け取っているものの、その金額はライン1本あたり上限3000万。この程度では焼け石に水で、価格に跳ね返るのも無理はありません」(前出・週刊誌記者)
それに加えて、マスクの材料となる不織布もいま、価格が高騰しているという。
「東レなどの大手メーカーは増産体制に入っていますが、それでも世界中の需要増にはとても追いついていないのが実情。不織布の取引価格はコロナ禍以前に比べて十倍にも値上がりしており、これに設備投資コストも加えれば1枚当たり30〜40円、1箱で1500〜2000円のコスト増になるのは確実でしょう」(前出・週刊誌記者)
新型コロナウイルスが蔓延する以前から、7枚入りマスクは400円程度で販売されていた。それとほぼ同水準の50枚2980円という価格設定は、世界中でマスク争奪戦が繰り広げられるなか、むしろ割安だと言えそうだ。
(北野大知)