「まさかの流行語大賞狙い?」岸田首相が多用する「現実的ではない」発言が不快すぎる理由

 長引くコロナ禍の中で、「ウィズコロナ」を目指し、マスク着用の緩和、感染症法上の位置付けを2類から5類への見直しなどを提言する識者は少なくない。しかし、これまでも政府の「ひと言」で一蹴されてきた。

 岸田文雄首相は今年1月13日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けについて、現在の2類相当を見直さないという考えを示した。感染症法は、危険度が高い順に1類から5類までに分かれている。新型コロナは結核と同じ2類で、コレラの3類よりも危険度が高く設定されている。見直さない理由は、感染が急拡大している中で「現実的ではない」からだと答えた。

 マスク着用の緩和にも慎重だ。岸田首相は5月12日、参院厚生労働委員会でコロナ対策のマスク着用について言及したが、ここでも、今の段階で緩和することは「現実的ではない」と発言した。

 岸田首相のほかにも「現実的ではない」というフレーズを多用する政治家はいる。松野博一官房長官は9月15日、新型コロナの感染症法上の位置付けを5類に変更することについて、現時点では「現実的ではない」との見解を示している。その前日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)について「まだ到達していないが、終焉が視野に入っている」と語っていたにもかかわらずだ。

 ネット上では《「現実的ではない」。流行語大賞狙っているのかな》《「現実的ではない」けど流行語大賞決定》などと、揶揄されている。

「漫画家の倉田真由美氏も9月16日更新のツイッターで、くだんの松野氏の『現実的ではない』発言のニュースを添付し、『全員が同じ言い回し、理由も説得力がまったくない』と批判しています。世界がコロナ規制の緩和に向かう中、日本などごく一部の国だけが必要以上に危険視しているようにも思えます。『現実的ではない』のであれば、倉田氏が言うように理由を挙げるべきであり、どんな状況になれば、マスク着用の緩和や危険度の引き下げが『現実的になる』のか、きちんと説明すべきでしょう」(ジャーナリスト)

 マスク着用緩和も、5類に引き下げも、今の政府に期待するのは「現実的ではない」ということか。

(石田英明)

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