カジサックが交渉で改善も…吉本のユーチューバー“2割徴収”は取りすぎ?

 吉本興業がカジサックからもユーチューバー収入の2割を徴収していたという。3月3日発売の「週刊女性」が吉本と芸人のギャラ配分を明かし、ユーチューブ好きから驚きの声があがっている。

 記事によると、吉本では14年にユーチューバー芸人の発掘・育成プラットフォームを立ち上げており、ユーチューブ進出は早かったという。だがギャラの配分は吉本が7割、芸人が3割で、9対1と言われるお笑いのギャラよりはマシなものの、芸人の取り分は少なかったようだ。それがカジサックらが交渉した結果、撮影や編集を自分たちで行なう場合には8割を、制作費を吉本が負担する場合でも6割を芸人がもらえるようになったという。

「この8割という数字は、HIKAKINなど著名クリエーターが所属する最大手マルチチャンネルネットワーク(MCN)の『UUUM』(ウーム)が、クリエーターから2割の手数料を徴収していることにならったのかもしれません。芸人にしてみれば稼ぎの8割が自分のものになるなんて、夢のような数字なのでしょう。しかしMCNの実態を知っていれば、吉本の2割は取り過ぎという見方もあり、アコギな商売だと呆れるユーチューブ好きも少なくありません」(ネット系ライター)

 このMCNとは、ユーチューブ界の芸能事務所と呼ばれる業種。人気クリエーターにはマネージャー(バディ)を付けたり、企業案件の広告営業を手掛けるなど、芸能事務所と同じような業務をこなしているように見える。しかし、実際の役割は大きく異なるというのだ。

「最大の違いは、クリエーターの動画制作そのものを大きくサポートしているという点です。芸能事務所と同様のマネージメント業務に加えて、動画に使う様々な素材の提供、企業プロモーションやタイアップのサポート、クリエーター同士の橋渡し、さらにはPVを伸ばすためのコンサルなども提供。ほかには人気クリエーターを束ねたライブイベントも手掛けており、普段から撮影と編集に忙殺されるクリエーターを表と裏の両面で支える存在となっています。その点では、吉本における『制作費を吉本が負担』と同等以上のサービスを提供しているわけで、それでも手数料は2割。一方、ただ所属しているというだけで2割を持っていくという吉本は、あこぎと言われてもしょうがないでしょう」(前出・ネット系ライター)

 吉本にしてみれば、同社に所属して“吉本芸人”という肩書きを名乗るからこそ、ユーチューブでも活躍できるという理屈なのかもしれない。しかしユーチューブは無名の一般人でもHIKAKINになれる可能性を秘めた世界。それこそユーチューブとの契約は芸人個人でもできるわけであり、この調子では吉本を離脱してユーチューブに活路を見いだす芸人が出てくる可能性もありそうだ。

(北野大知)

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