「相乗りタクシー」解禁間近も実証実験で明らかになった”不都合な数字”

 3月7日に開かれた未来投資会議で、“相乗りタクシー”について議長の安倍首相が「導入により利用者が低廉な料金で移動することを可能にする」と推進。関係閣僚に検討を指示したことにより、来年度にも全国で解禁されることになりそうだ。
 
 しかし、相乗りタクシーは一見、料金が半分程度になったり、待ち時間が減ったりとメリットが多いようにも思えるが、果たしてすんなり普及するのだろうか。
 
「海外では一般ドライバーと利用者をマッチングさせる配車アプリ『UBER』が人気ですが、日本では白タク行為が法律に反するため、単なるハイヤー配車アプリになってしまい根付いていない。代わりに政府が推進しているのが相乗りタクシーで、こちらはスマホのアプリなどを使い希望の行き先を入力すると、同じ方向に行きたい人と組み合わせてタクシーを配車する仕組みになっているんです」(経済記者)

 相乗りタクシーが実現すれば、人口減で路線バスが廃線となった地域でも、高齢者などが安価で利用できる移動手段として活用できる。また、外国人観光客の移動をスムーズにすることにより方々で金を落としやすくなる環境も作れるなど期待は高まるが、一方で問題も多いのだという。

「同乗者が見つからないと配車されるまでに時間がかかったり、最悪、配車されないという事態も出てくると思います。実際、国土交通省が昨年1~3月に行った実証実験では、5036人の実験申し込み者のうち、実際にマッチングできたのは494人と、成功率は1割弱という結果が出ている。他にも、女性が一人で利用する場合の安全性などにも対策が必要です。何より、現時点では単純に売り上げが減るとして、タクシー業界が猛反発していますからね」(同前)

 道のりは遠い!?

(小林洋三)

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