新型コロナウイルスの水際対策が1日から大幅に緩和されたことを受け、いよいよ10日から、外国人観光客の受け入れが再開される。
そんな中、日本各地にある観光地周辺の住民の間では「また、中国人による土地買い占めが加速するのではないか」という懸念の声があがっているという。
「林野庁が昨年発表したデータによれば、外国資本が日本国内で買収した森林の面積は調査を始めた2010年の段階で558ヘクタール。それから増え続け、21年までの累計が調査開始時点比4.2倍の2376ヘクタールに達したことが分かっています。大半はニセコ町や留寿都村など北海道が占めているものの、ここ数年は奈良や京都といった日本古来の神社仏閣が立ち並ぶエリアでも別荘や住宅建築の名目で『買い占め』が急増しているのです。周辺の地主や不動産関係者らは、インバウンド復活に戦々恐々としているようです」(社会部記者)
特に、いま「中国資本」のターゲットになっているのが、京都の伝統ある神社仏閣の至近の土地で、セカンドハウスとして購入されているケースもあるが、その多くがホテルや旅館などの宿泊施設を手に入れるための買い占めだとされている。
「京都には唐時代の都・長安を模してつくられた平安京など、中国人にとって、いわば『古き良き中国』情緒を感じる建物が多いといいます。しかも、賃貸用物件なら利回り年1~2%程度の中国国内に比べ、京都なら4~5%の利回りが期待できるため、中国の富裕層がこぞって京都の土地に狙いを定めるようになったといわれます」(同)
さらに、中国では土地の所有権は手にできず、使用権しか買えない。つまり、中国では国民ですら土地の売買ができない仕組み。しかも、政府が介入して価値が暴落するというケースもある。一方で日本の場合、外国人でも土地が購入できるため、富裕層が急激に増えた中国から資産保有目的の投資を呼び込んだというわけだ。
時すでに遅しという感もあるが昨年6月、外国資本による日本の土地の買い占めに一定の歯止めをかけるため、土地利用規制法を成立させた。これは自衛隊基地や原発など安全保障上重要な施設周辺を「注視区域」とし、地権者の国籍・氏名、利用実態などについて調査することを可能にするものだ。また、より重要性の高い「特別注視区域」だと、売買の際に事前に氏名・国籍を届けることを義務付けている。
「ただ、規制対象になるのは日本のごく一部でしかなく、また法律は土地購入を禁止するものでもない。そもそも日本は外国人の土地所有に対してオープン過ぎるのです。多くの国では外国人の土地購入に対して一定の条件を設けています。日本は海外から投資を呼び込むことを名目に、不動産についても開かれた市場を保っていますが、その反面、外国人による不動産の買い占めというリスクにも晒されているということです」(同)
コロナが終息したら、いつの間にか京都がチャイナタウンになっていた、なんてことのないよう願うばかりだ。
(灯倫太郎)