このところ、副業初心者でも取り組みやすい仕事として人気を集めているのが「レンタカー回送代行」だ。
近年、世帯あたりの自動車普及台数の低下に伴い、右肩上がりの成長を続けているレンタカー業界。外国人観光客の増加による「乗り捨てニーズ」の高まりを追い風に、この代行ビジネスも急速に拡大を続けている。
基本的な業務内容は、各地で乗り捨てられたレンタカーを回収し、元のレンタカー会社まで運転して届けること。必要なのは運転免許のみだ。
回収現場への道のりと配送後の帰路は電車やバスなどの公共交通機関を利用するため、ドライブ好きだけでなく、旅行ファンからも趣味と実益を兼ねた仕事として注目を集めている。
いったい、どのような流れで取り組むことができるのか。
「代行業者に直接登録する方法が一般的ですが、最近では求人サイトでも頻繁に募集をかけています」
とは、回送代行業務に「月6日程度のアルバイト」として携わっているという自営業者の男性だ。
「どちらから申し込んでも仕事内容は同じですが、地域によっては全然仕事が回ってこない代行業者もある。地域別の求人サイトで募集している業者なら安心して申し込めます」
業界大手「メビウス21」の場合、サイトのトップページから「ドライバーに応募する」をクリック。
住所、氏名、年齢、電話番号の他、免許取得年数を入力すれば申し込みが完了。その後、最寄りの支社で説明会を兼ねた面接が行われ、合格者は講習を経て実務スタートとなる。
スマホで働きたいスケジュールを専用ページに入力することにより、仕事依頼をメールで受け付け、レンタカーの回収から納車まで直行直帰で行う仕組みとなっている。
「どの代行業者でもボロ儲けは期待できませんが、空き時間の有効活用という面では不満はありません」
こう話す前出の男性に実際の稼ぎを聞いてみると、
「私が契約している会社の報酬体系は、走行距離50キロまでの納車が1件につき1100円で、100キロまでの地域だと1400円になります。100キロ以上の場合、1キロ走るごとに14円上積みされていく計算。気楽にドライブするだけで月に数千円もらえるのはなかなか悪くない」
もしもまとまった時間が取れるなら、日をまたぐ長距離の案件をこなしたほうが効率的だという。だが、長距離の電車移動に時間を割かれることになる。
「移動に使った電車代は後日精算するのですが、当然ながら移動時間には報酬が発生せず、自宅から遠くに行くほどムダな時間が生まれてしまうんです。なので私の場合、電車の中ではノートパソコンで別の仕事をするようにしています」
経費で旅行するくらいの感覚ならば、お得感満載の仕事なのであった。
(もとおり・ひろゆき)