訪日外国人が「岩手県」に殺到するワケとは?

 政府観光局によると、外国人観光客の受け入れが再開された昨年10月〜12月の訪日外国人は約280万人。かつてのような賑わいを取り戻しつつあるが、1月に入って突如ある地方都市が外国人の間で注目を集めている。

 それは岩手県盛岡市。実は、先月12日にNYタイムズ電子版が発表した「2023年に行くべき52カ所」にロンドンに次いで、なんと2番目に紹介されたのだ。
 
 過去に東京や大阪、京都が選出されたことはあったが、世界的にほぼ無名の盛岡が取り上げられるのは異例のこと。そのため、米国では記事配信後に【MORIOKA】が検索ワードランキングで急上昇している。

「西洋と東洋の建築美が融合した建物、近代的なホテルや古い旅館があり、曲がりくねった川が市内を流れている。古い城跡が公園になっているのも魅力のひとつ」

 盛岡についてそう綴った作家で写真家のクレイグ・モド氏の推薦文の影響もあり、1月中旬から盛岡を訪れる外国人観光客が急増。

 日本に向かう直前に記事を読んだ英国人男性は、「急きょ予定を変更して盛岡に訪れました。自然豊かで情緒があり、東京や京都とは違った良さがありました」と話す。

 また、米国カルフォルニア州から来たという男性は、「気になってネットで調べたら、大谷(翔平)の故郷に近いって言うじゃないか。エンゼルスファンじゃないけど、これは行かなきゃって思ったんだ」とMLBのスター選手の地元と聞き興味を持ったと明かす。
 
「欧米圏の旅行者は穴場の観光地に興味を持つ人が多く、盛岡はそのニーズに合致したわけです。周辺には中尊寺で有名な世界遺産の平泉をはじめ、温泉地も点在。また、八幡平や安比高原などのスキーリゾートもあり、観光地としてのポテンシャルは非常に高い。でも、それは盛岡に限ったことではなく、外国人が知らないだけで国内にはそうした場所がまだ数多くあります」(旅行誌編集者)

 コロナ禍で観光収入が激減した全国の観光地を元気づけるためにも第二第三の盛岡が出てくることに期待したい。

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