中国での感染者は6万人以上に上り、国内でも初の死者を出すなど猛威を振るう新型コロナウイルス。その肺炎患者を調査した結果、3分の1から2分の1が高血圧や糖尿病などの基礎疾患を抱えていたという。発症のリスクをおさえるためにも、重大疾患のもととなる高血圧の予防・改善に努めるべし!
現在、日本における高血圧患者数は4300万人に上る。さらに昨年、5年ぶりに75歳未満の成人高血圧患者の降圧目標が140/90mmHg未満から130/80mmHg未満に引き下げられたことで、管理不良な高血圧患者数は大幅に「増加」してしまった。
さらに、実は日本における高血圧患者の受診率は驚くほど低い実情にある。
「というのも、定期健診で『高血圧』を指摘されても、何の症状も出ていないし、忙しいからと治療に行かない。あるいは面倒なので薬を飲むのを途中でやめてしまった‥‥。そんな患者が4300万人のうち2000万人はいると言われ、そういう人たちが脳梗塞や心筋梗塞で救急外来に運ばれ、寝たきりになる場合が少なくないんです。高血圧というのは生活習慣の積み重ねで作られた、いわば血管のクセのようなもの。悪いクセを直すためには、生活習慣の中で血圧の上昇を抑えるコツを取り入れればいい。そのコツが血圧リセット術なのです」
そう語るのは、今年1月に「食べ方、座り方、眠り方で下がる! 血圧リセット術」(世界文化社)を上梓した、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科の市原淳弘教授だ。市原教授は年間7500名もの患者を診療する高血圧治療のスペシャリスト。全国各地から血圧の高い医師が受診する「医者も信頼する血圧専門家」としても知られる。
「血圧は上が正常ならOKと思われがちですが、上と下、どちらか一方でも高いとダメなんです。上の血圧は心臓が収縮して血液を押し出す時の血圧で、高くなる理由は血管内の血液量が増えているにもかかわらず、血管が硬くて十分に広がらず、血管の内壁に強い力がかかるから。一方、下の血圧は心臓が最大まで拡張している時の血圧で、こちらが高い場合も血管のしなやかさが失われていることを意味しているんです」
さらに、人間はストレスがかかると副腎からストレスと闘うためのホルモンを分泌するが、これが過剰に分泌されると心血管に大きな負担がかかり、血圧が急上昇する。高血圧症患者にとっては、それが重大な脳・心血管疾患の引き金になりうるというわけだ。