味覚異常、倦怠感、息切れ…。これまでメディアはさまざまな「コロナ後遺症」を報じてきたが、ある救急救命医は、さらに恐ろしい症状を指摘する。
「8割の患者は無症状、軽症で済むのに、医療従事者が『新型コロナは怖い』と言うのには理由があります。新型コロナに感染すると、それまで健康であった人たちの血管が一夜にしてボロボロになり、通常ならば考えられない頸動脈や大腿部の太い血管が炎症を起こして詰まる。これが『コロナ脳梗塞』です。当初は脳梗塞を起こした人がたまたまコロナ感染していた、という見方が強かったのですが、そうではないのです」
コロナによって重度の脳梗塞や足の壊疽を起こし、40代、50代でも半身麻痺、あるいは足を一部切断した症例が報告されている。
「アメリカで死者が多いのは、健康な若者ですら新型コロナ感染で血管が炎症を起こし、重症化するからです。それはアメリカに限った話ではありません。アメリカほど多くないだけで、日本でもコロナ脳梗塞は見つかっています。ウチの病院に救急搬送された患者さんの中にもいらっしゃいました。時節柄、暑さと脱水で脳梗塞を起こしたと思われたのですが、PCR検査をしたところ、陽性でした。新型コロナ感染で首の血管が詰まる脳梗塞を起こしていたのです」(救急救命医)
こうした突然のコロナ脳梗塞は、いわゆる「血液サラサラ」の薬を飲んでいる患者には起きにくい。むしろ無防備な、健康な中高年にこそ、突如として発症するリスクが高いのだ。脳神経外科医は、厳しい表情で次のように呼びかける。
「海外の報告では、突然死した患者さんを解剖したら、首に直径1センチ以上の血の塊が詰まっていました。そんな血栓が脳や足に飛んだら、たとえ命は助かっても、今までどおりの生活は送れなくなります。重症化する確率は低いとはいえ、やはりコロナ感染予防を徹底することが重要です」
これからだんだんと寒くなっていく季節は、例年でもインフルエンザと脳梗塞が増える。今年の冬は従来の脳梗塞とコロナ脳梗塞の判別がつきにくくなるから、なおやっかいなのだ。
日本国内の新型コロナ陽性患者の累計は、7万5302人(9月11日時点)。厚生労働省は陽性患者や医師に聞き取り調査を行い、コロナ後遺症の研究に着手することになった。
国と東京都はコロナの警戒レベルを引き下げ、飲食店の営業時間やイベント収容人数も緩和される。だが、全ての人が新型コロナで生死をさまよう可能性があり、重篤な後遺症で苦しむかもしれない。そう肝に銘じて、自衛するに越したことはないのだ。