「新型コロナで志村けんさんが亡くなった際、実兄は遺体との対面すら許されず、『悔しい』と涙を浮かべていました。岡江久美子さんの夫の大和田獏さんは、火葬にも立ち会えなかったようです。このコロナ禍で葬儀の仕方は大きく変わりました。実際、コロナ死が疑われるケースでは、葬儀会社の担当者が防護服着用で業務に務めています」(社会部記者)
39県で緊急事態宣言が解除された5月14日、愛媛県内の医療機関で感染源不明の院内クラスターが発生。殺人ウイルスは依然として静かに、しかし確実に広がり続けている。気がつけば、まさかと思われる感染源から襲ってくるのだ。
都内在住の寺院関係者が警告する。
「都内の住職が新型肺炎に感染してお亡くなりになりました。もともと高齢で通院や入退院を繰り返していたので、当初は病院が感染源かと思われたのですが、近くにある同じ宗派の別の寺でも僧侶と同居家族が陽性となっている。外出自粛期間中で飲食店も利用しておらず、感染源として思い当たるのは、別の病名で亡くなったとされた方の葬儀以外に考えられません。もちろん、ご遺族や参列者に陽性患者がいた可能性はありますが、別の死因で荼毘に付された仏様の中に、かなりの数の『隠れ新型肺炎患者』が含まれていたのでは、と僧侶から不安の声が上がっているのです」
保健所に相談しても「新型肺炎陽性患者との濃厚接触がないから」と相変わらずの検査潰しが‥‥。そもそも、濃厚接触した遺体や遺族にPCR検査はしていないから、濃厚接触がないとは言い切れないはずだ。在宅診療をしている医師が証言する。
「在宅療養中に肺炎のため亡くなられた高齢者のご家族へのPCR検査も、2月から断られています。ご遺族の中には通院や入院の付き添い、あるいは故人が利用していた介護施設を介し、新型肺炎をもらってしまった可能性に不安を抱える人も少なくない。もしお亡くなりになった方が新型肺炎に感染していたら、在宅介護をしていた濃厚接触者の家族が、職場や立ち寄り先でクラスターを形成してしまいます。地元医師会が独自のPCR検査を立ち上げて、ようやくご遺族の検査のメドは立ちました。東京都は連日、陽性患者数が減ったと発表していますが、都内で1日あたり何件の検査をしているのかはっきりしない。検査を渋って、陽性患者を少なく見せている疑念は拭えません」
肺炎で亡くなる高齢者は胸部レントゲン写真で肺が真っ白になっていても、唾液が肺に落ちるなどして炎症が起こる「誤嚥性肺炎」や「吸器不全」で片づけられてしまい、PCR検査などしていないのが実情だ。だからこそ、先の寺院関係者は不安を口にする。
「葬儀ではご遺体に触れないよう、ご遺体を透明のケースで保護する、できるだけ参列者を減らして家族葬にするなど、葬儀のあり方も変わってきています。それでも感染の恐怖はある」
今年4月、米ニューヨークのマウントサイナイ病院は「新型コロナウイルスに感染した30〜40代の患者が脳梗塞を起こす症例が相次いでいる」と発表。50代以下で脳梗塞を起こして同病院に救急搬送された患者の過半数が新型肺炎に感染していた。無症状あるいは軽い風邪症状だったのが突然、首や脳内の血管が詰まって急変したのだという。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、新型肺炎の症状に脳梗塞や下痢、結膜炎、じんましんも追加。新型肺炎ではないと思っていた、別の部位の症状が新型肺炎の感染による可能性があるとして、もし急激に胸の痛みやしびれ、呼吸困難などの症状が出たらすぐに医療機関を受診するよう呼びかけている。当然、米国では脳梗塞患者の全症例にPCR検査を行っている。
日本でも、ニューヨークからの警告を受けて4月27日、病死した患者の解剖などを行う日本病理学会が「原則、全ての症例でPCR検査を行うことが望ましい」という声明を発表した。
「コロナウイルスの主な感染源は陽性患者の体液や唾液などの飛沫ですから、基本的にはご遺体からウイルスが放出されることはない。とはいえ、故人の服や布団、遺品にはウイルスが残留していることもあり、僧侶や葬祭関係者、ご遺族には感染リスクがありますからね」(同学会に所属する医師)
読経する僧侶はマスク装着、家族葬がお見送りの主流になるのかもしれない。