回転寿司チェーン大手の元気寿司グループが、「回転しない寿司」路線を押し進め、売上高を伸ばしている。
現在、約8割の店舗で回転レーンを撤去し、客が注文した商品をその度に“特急レーン”で提供するスタイルに変えているのだ。
「回転寿司で利益を上げるためには、3~10%ほどある廃棄率をいかに下げるかが重要であると言われています。かつて回転寿司のスシローがビッグデータを活用して廃棄量を75%削減したことで話題となりましたが、まさか回転寿司チェーンで寿司を回さない戦略には、誰もが驚かされました」(経営コンサルタント)
回らない回転寿司など何となく味気ないと思いがちだが、回っている寿司を“食べない”という客もかなり多いようだ。マルハニチロが公開している「回転寿司に関する消費者実態調査 2018」によれば、月に1回以上回転寿司を利用する15~59歳の男女1000人に、回っているネタと、注文して握ってもらうネタのどちらを多く食べているかをリサーチしたところ、回っている寿司をよく食べるという人は29.1%と、3割にも満たなかったのだ。
「元気寿司の法師人尚史社長も、『全体の売り上げに占める回らない寿司の注文率が8割を超えたため路線を変えた』と語っています。 2012年に回転しない寿司店の1号店を渋谷にオープンさせると、1店舗で1カ月に4000皿廃棄していた寿司の廃棄量が激減し、約1億円の損失削減に成功したというのです」(フードジャーナリスト)
元気寿司グループはその結果を受けて回転しない寿司店を増やしたところ、売上が平均して20%アップしたという。
「昨今は“廃棄ロス削減”が叫ばれ、先ごろの節分でも恵方巻の大量廃棄が問題視されました。そうした風潮の中、“回らない回転寿司”は今後、さらに増えるかもしれません」(飲食店運営会社関係者)
これも時代の流れか。