プロ野球界は契約更改の真っ最中。同僚選手の昇給幅だけではなく、他球団の同年代の交渉も気になって、どの選手もスポーツ新聞に見入っているそうだ。そんなライバル同士が懐事情を探り合っているなかで、「どうして?」「大丈夫か?」の声も出ているのがオリックス・バファローズだ。
「最下位なのにダウン提示は12人だけ。600万円以上の減額を提示されたのはT-岡田のみ(12月19日時点)。対して吉田正尚、山本由伸、山岡泰輔の3人は前年の倍以上もの大幅アップを勝ち取りました。また、メジャーの大物外野手アダム・ジョーンズに2年総額800万ドル(約8億8000万円)の年俸を提示し、さらに出来高で200万ドル(同2億2000万円)を加えました。普通、最下位なら選手全員がシブチン更改なのに」(球界関係者)
これだけの“暖冬更改”と補強費はどこから出たのか?
観客動員数は微増。昨季の観客動員数162万5365人から今季は173万3998人に増えたものの、こちらは12球団ワーストからブービー賞になっただけ。親会社からの資金援助があったと思われるが、チームの成績と切り離した査定に、他球団選手から「羨ましい…」のため息も出ているという。
オリックスの補強費の潤沢ぶりは米FA選手との交渉、及びトレードをまとめるウィンターミーティングでも広まっていた。
「イチロー、ゴジラ松井もそうでしたが、30歳を過ぎた外野手に対し、メジャー球団の評価はシビアです。ジョーンズは実績十分ですが、19年、ダイヤモンドバックスと契約したのはオープン戦中の3月11日。このオフはもう高額で契約できないと察したのか、代理人を通じて日本球界に売り込みを掛けていました」(米国人ライター)
ジョーンズの19年の年俸は出来高込みで計450万ドル(約4億9500万円)。ジョーンズにもプライドがあった。日本行きは単なる現役続行ではなく”譲れない額”があり、ほとんどの日本球団が難色を示すなか、オリックスの森川秀樹本部長は「ウチで決まる」と明言していた。
大甘更改と大型補強の目的は優勝だろう。他球団選手のため息と羨望。オリックスは本気で優勝を狙いに行く。
(スポーツライター・飯山満)