萩生田文科相の「夏の甲子園」否定論に野球OBが猛反発!

 夏の甲子園大会の球数制限論が、永田町に飛び火した。衆院文部科学委員会で27日、球児の投げすぎが問題視されている点について質問を受けた萩生田光一文部科学大臣が「IOC(国際オリンピック委員会)のアスリートファーストの観点から言えば、甲子園での夏の大会は無理だと思う」と述べたのだ。

「高校野球連盟(高野連)は有識者による会議を重ね、『一週間に500球』という目安を提議しました。でも、東京五輪のマラソン・競歩が暑さ対策で札幌市に会場を移したこともあり、『ならば、炎天下で行う競技の代名詞的な存在である高校野球はどうなんだ?』という流れができて、野党からそんな質問が出ました」(政治部記者)

 とはいえ、甲子園の大会運営に政治が関与することはないはず。要するに、暑さによる事故が起きる前に「政府は心配していた」というアピールをしておきたかったわけだ。

 しかし、暑さ対策・球数制限の議論はもうしばらく続きそうだ。

 プロ野球OBを始めとする野球経験者は制限を設けたこと自体に反対する人が多く、投手分業制の確立されたメジャーリーグに傾倒する若い世代は「制限すべし」の意見。また、暑さ対策については、老若を問わず幅広い年代のプロ野球OBが「そういうことを言うヤツに限って、野球をやったことがない」と反論している。さらに「90分走りっ放しのサッカーはどうなんだ?」との意見もあり、このままだと夏季スポーツの全ての大会の在り方が問われそうだ。
 
 11月下旬になって、夏の甲子園を持ち出すのもいかがなものかと思うが、欠席裁判でやり玉に挙げられた高野連、高校球児にとっても有難迷惑だろう。

(スポーツライター・飯山満)

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