かつて東京や大阪と全国各地を結んでいたブルートレイン。しかし、時代の流れとともに次々と廃止となり、使用していた客車の多くは解体されてしまっている。それでも一部の車両は現在も保存されており、なかには寝台車をそのまま活用して宿泊施設として利用されているところもある。
近年では2022年4月、15年まで上野―札幌間で走っていた「北斗星」の車両を使った「北斗星スクエア」が北海道北斗市にオープン。23年4月には京都―熊本間で運行されていた「なは」などの車両が香川県観音寺市で「四国遍路の駅オハネフの宿」として開業。ちなみにこちらは14年まで鹿児島県阿久根市の「あくねツーリングSTAYtion」として使用されていたのと同じ車両だ。
他にも秋田県小坂町の「ブルートレインあけぼの」、岩手県岩泉町の「岩泉CYMBALS ブルートレイン日本海」、熊本県多良木町の「ブルートレインたらぎ」があり、全国5カ所のブルートレインの宿が存在する。
宿泊料金は施設によって異なるが、全体的に一般のホテル・旅館に比べるとリーズナブル。実際に寝台列車として運用されていた車両を使っているため、部屋も個室タイプや2つの2段ベッドが向かい合わせになった開放型のB寝台など複数のタイプがある。
風呂やシャワーについては車内、または施設内のものが利用でき、設備がない一部施設も近くに入浴施設があるので心配は無用だ。
走行中のブルートレインだと車内が揺れ、騒音も大きいので熟睡できなかったという人も多かったが、こちらに関してはいずれも安心して眠ることができるはず。
昔、寝台列車を利用した中高年世代には懐かしく、若者にとっては新鮮に映るブルートレインの宿。特に子供であれば喜ぶと思うので家族での利用にもオススメだ。
(高島昌俊)
※写真は、四国遍路の駅「オハネフの宿」