大阪維新、「高校無償化」でバーター合意?不人気が止まらない大阪万博のトホホな実態

 高校授業料の無償化と社会保障改革などに関する協議が2月25日、自民・公明、維新の3党で正式合意。維新の衆議院議員38人が賛成に回ることで、2025年度予算の今年度内の成立が、ほぼ確実視されることになった。

 今回の合意により、高校授業料を25年4月から公立・私立を問わず一律で11万8800円を支援。26年4月からは、私立高校生に対する支援額も現行の最大39万6000円から45万7000円をベースに所得制限なしで引き上げられることになりそうだ。

「与党と国民民主党との年収の壁の協議は平行線のままですが、国民民主が掲げる収入が年103万円を超えると所得税がかかる『103万円の壁』を『178万円』まで一律で引き上げ案の実現には、最低でも7兆円から8兆円は必要といわれます。しかし、高校無償化なら、その10分の1の5500億円程度の財源で済む。自公としては願ったりかなったりでしょう。しかも維新は医療費4兆円削減についても、実施時期など具体的内容が十分に詰められていない状態にもかかわらず、合意しています。その背景には、維新に何が何でも年度内に予算が通らなければならない事情があるから。それは、1カ月後に迫るものまったく盛り上がっていない大阪万博です」(全国紙政治部記者)

 大阪・関西万博が4月13日、ついに開幕するが、前売り入場券がとんでもなく売れ残っているというのだ。

「万博は大規模な登録博と、規模が小さくテーマに絞った認定博に分かれますが、今回開催されるのは、文字通り1970年の大阪、2005年の愛知に次ぐ3回目の登録博。今回のテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』で、コンセプトは『未来社会の実験場』で世界から約160カ国・地域が参加しています。当初、主催者側は期間中の半年間で350万人のインバウンドを含め2900万人程度の来場者を見込み、2兆~3兆円の経済波及効果が期待できると鼻息を荒げていた。ところが1カ月後に迫る中でも思ったようにチケットが売れず、商工会を通じてチケットをばらまいているといった話もあり、府民の間ではすでに『また負の遺産に戻ることは間違いない』といった声が多く上がっています」(同)

 会場となる夢洲は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや、人気水族館の海遊館にも近いとあって、相乗効果を期待していたようだが、この場所はかつて大阪市が湾岸開発を目指し新都心構想を掲げたエリア。しかし、バブル崩壊で計画が頓挫。加えて2008年には大阪五輪での選手村構想も浮上したが、結局、誘致合戦に敗れ埋め立て後の活用策が決まらず、長い間「負の遺産」と呼ばれてきた。そんな夢洲への万博誘致を推し進めたのが、大阪に根を張る地域政党、大阪維新の会だったのである。

「それでも、当初は安倍政権との蜜月関係もあり、計画は順調に進むかに思われたのですが、様々な問題が噴出し万博批判が高まると、大阪維新人気も低迷。府内の首長選等で公認候補が次々に落選し、母体である日本維新の会も24年10月の衆院選では一気に議席を減らすことになってしまったんです」(同)

 2月25日、吉村洋文代表は石破総理とオンラインで協議し、伸び悩む前売り券の販売について国の支援を求め、石破氏も、てこ入れすることに同意したというが、つまり要は、これも維新が与党と協議に合意したバーターだったのか。2025年度予算案に計上されている万博の関連費用は85億円。1カ月後の万博開幕を前に、維新にとっては予算案執行は必須なのだろうが、この動きに大阪府民の失望がさらに大きくなることは想像に難しくない。

(灯倫太郎)

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