「小野さんいい人すぎるよ」「思わず感動してしまった」「捨て身の丸川降ろし作戦」などとSNSで話題になっているのが、第50回衆議院議員総選挙で東京7区から出馬している日本維新の会・小野泰輔前議員。同選挙区には、小野氏のほかに、自民党・丸川珠代元五輪相、立憲民主党・松尾明弘元議員、参政党・石川友梨香氏が立候補している。
「自民党の丸川氏は派閥の政治資金パーティーをめぐって、収支報告書に822万円もの不記載があったことから、比例代表への重複立候補は認められませんでした。今回、参議院からの鞍替え選挙に臨みましたが、小選挙区で敗れれば議員バッジを失うことになります。安倍昭恵氏が選挙応援に駆けつけるなど、テコ入れしているものの、ここにきて、維新の票が立民に流れているとの情報もあり、丸川氏の落選が現実味を帯びてきています」(政治部記者)
いわゆる「政治とカネ」の問題が争点となっている今回の選挙で鍵を握るのが、野党の連携だ。野党候補が乱立することで、「反自民党」の票が分散され、結果的に自民党の候補が“漁夫の利”を得て当選する可能性が高まる。だが、東京7区では前述の小野候補が驚くべき行動に出ていた。
「維新の候補であるにもかかわらず、街頭では同じく野党である立憲民主党への投票を呼び掛けているのです。自民党の“裏金政治”を終わらせるという点では、維新、立民ともに共通していますが、こうした呼びかけは異例中の異例とも言えます」(前出・政治部記者)
にわかに信じがたい話だが、10月22日放送の日本テレビ系報道番組「news zero」では小野氏の選挙戦を紹介。街頭に立った小野氏はこう呼びかけていた。
「私、小野泰輔、あるいは維新なんて好きじゃないな、という方は立憲民主党に入れてください。そのことによって、この選挙区で裏金議員に対してしっかり民意を突きつけることができる」
身を捨ててでも「自民党には入れないで」と呼びかけた小野氏には、「候補者の鑑」といった称賛の声があがる一方、維新の支持者と見られるアカウントからは「何言ってんねん」「諦めたらアカン」などとハッパをかけるコメントも…。捨て身の作戦がどう出るか。東京7区の選挙結果は大きな注目を集めそうだ。
(福島シゲル)