大手民間企業が次々と初任給を引き上げている。1月20日には大和ハウス工業が新卒の初任給を一律10万円引き上げると発表。東京海上日動火災保険も26年入社の新卒初任給を最大41万円に引き上げるという。その一方で、人材獲得で遅れを取っているのが霞が関の中央省庁だ。1月22日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」は、「官僚離れ」を特集で取り上げたのだが、テレビ朝日元社員でコメンテーターの玉川徹氏が財務省に言及して波紋が広がっている。
番組では、キャリア官僚として2014年度に採用された約600人のうち、23.2%がこの10年で退職したと解説。その要因として「長時間労働への不満」「給与水準への不満」を挙げ、専門家は「最も閉鎖的」と言われる日本の官僚制度について「多様性、流動性を高めることが不可欠」と訴えた。
意見を求められた玉川氏は「省益」について言及。「中には省益じゃなくて、本当にそれが必要な物ってのもあるんですよね」と述べてこう続けた。
「たとえば財務省がそうですよ。財政規律を守るなんていうのは先進国で当たり前のことなんだけれども、それでも『どんどん減税しろ』『いくらでも借金しろ』って感じになってるじゃないですか。それはやっぱりおかしいんですよ。そういうふうなものはちゃんと言うべきだと思ってて、財務省がね。ずっとなんか、ビビッて引きこもっているんじゃなくて、ちゃんとアナウンスメントしてほしいと僕は思うんです」
そのうえで玉川氏は「番組で、『モーニングショー』出て、財務省の人。この話ちゃんと説明してほしいとずっと思ってるんですよ。やってください」と財務省の官僚に呼びかけた。この発言にSNSでは《玉川さん減税反対論者か》《財政規律持ち出して財務省擁護とは…》《良いこと言う。海外へのバラまきも説明してほしい》などと批判を含め、さまざまなリアクションが寄せられていた。
「物価高で国民生活がどんどんひっ迫していく中、思い切った減税政策が取れないのは、財務省の官僚が政治家をコントロールしているという話は広く知られています。財務省の説明はわかりやすく、レクチャーを受けた政治家の大半は丸め込まれてしまうという話なので、玉川氏の言う通り、ぜひともスタジオで説明してほしいものです。ただ、『モーニングショー』では年収の壁の引き上げに否定的なコメンテーターが多く、国民民主党の玉木雄一郎氏は《せめて違う意見を反論できるコメンテーターか、私でもいいので番組に呼んでいただけないでしょうか》とSNSで発信していました。財務省の官僚を出演させるなら、元財務官僚の玉木氏とセットでの出演が望ましいかもしれません」(メディア誌ライター)
財務省は玉川氏の出演オファーにどう応えるのか。