「低所得者は選挙に行く余裕がない」財務省OBが「モーニングショー」で問題発言

 夏の参議院選挙を前に、国会および与野党間で消費税減税をめぐる議論がヒートアップしている。4月23日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」では、元財務官僚で明治大学公共政策大学院教授の田中秀明氏をゲストに招いて、消費税減税や財源について解説したのだが、低所得者を見下すかのような発言に視聴者が猛反発している。

 これまで減税に及び腰だった自民党や立憲民主党からも「消費税減税」の声があがっていることについて、元テレビ朝日社員の玉川徹氏は「(食料品の)消費税の税率を0%にするっていうことであれば、代わりの財源を必ずセットで出す。必要だと思うんですよ」と持論を展開し、これまで野党が掲げた法人税や所得税の改正案について説明。「本当に時限で消費税をもとに戻すということになるんであれば、8%に戻すって時には、むしろ財政に寄与するくらいまでちゃんと言って、訴えて選挙をやるべきだと思いますよ。日本人そんなにバカじゃないです」と語った。

 その後、社会起業家の安部敏樹氏は、消費税減税は富裕層にも恩恵をもたらすとして、「オペレーションコストはかかるけど、現金給付のほうがいいっていう考え方も今の時点では残念ながらあるかもしれない。かなり厳しい世帯に対してだけっていう」と述べると、玉川氏は「それは(選挙の)アピールにならない」とバッサリ。現金給付の効果について聞かれた財務省OBの田中氏は「対象を絞ったほうが効果はある」としたうえでこう続けた。

「しかし、選挙対策という意味では、残念ながら低所得者の方々は選挙に行く余裕がないので、選挙対策という意味では効果は乏しい」

 この発言に、SNSでは《完全な見下し発言》《差別やろ》《バカにしてんのか?夏の選挙は意地でも選挙いくぞ》などと怒りのコメントが相次いでいた。

「驚くことに、田中氏が『低所得者は選挙に行く余裕がない』とコメントした後、MCの羽鳥アナが『なるほどね』と納得の声をあげていたこと。国政選挙では年代別の投票率に関するデータは公表されていますが、所得別の投票率などは聞いたことがありません。むしろ、富裕層が多く住むと言われる港区の都議選は、投票率がワーストだったほど。今は期日前投票に行く人も増えていますし、低所得者が選挙に行けないというのは偏見でしかありません」(政治ジャーナリスト)

 低所得者としっかり向き合う政治であってほしい。

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