収賄、内乱、職権乱用で歴代6人中4人も!なぜ韓国の大統領は逮捕されるのか

 昨年12月、1987年の民主化以降では初となる厳戒令を発令した韓国の尹錫悦大統領。その後、高位公職者犯罪捜査庁などで構成される合同捜査本部は、内乱容疑で大統領に対して逮捕状を発布した。今のところ身柄は拘束されていないが、未だ国内は混乱が続いている。

 ちなみに韓国では、現職の大統領への逮捕状発布はこれが初。だが、退任後の元大統領は、これまでに何人も逮捕されている。80年代以降の大統領経験者では、内乱罪容疑などで全斗煥氏(第11、12代)が、収賄容疑で盧泰愚氏(第13代)と李明博氏(第17代)が、また、朴槿恵氏(第18代)は職権乱用などの容疑で逮捕されている。盧武鉉氏(第16代)は、裏金疑惑で逮捕も時間の問題とされていた09年5月に、自ら命を絶った。

 逮捕されていないのは金泳三氏(第14代)と金大中氏(第15代)の2人だけだ。

 先進国で国家元首がこれほど逮捕された国は他に例を見ない。日本の総理大臣経験者では、ロッキード事件の受託収賄罪等の容疑で逮捕された田中角栄氏だけであることを考えるとあまりに対照的だ。

 では、韓国ではなぜ大統領経験者が次々と逮捕されるのか。

「大統領制を敷いている国のトップは、誰もが絶対的な権力を持っていますが、韓国は特に権限が強い。言い方は悪いですが、任期中に収賄や職権乱用など、やろうと思えばできてしまうのです。そうした誘惑に逆らうのは簡単なことではなく、自身はクリーンでも家族が悪事に手を染めてしまうケースも多いですね」(韓国政界に詳しい全国紙記者)

 こうした不正は、次の大統領が厳しく追及することが多いが、これは、自身の支持率アップに利用するといった側面もあるという。

「韓国は国民感情が大きく左右する国。要人でもタダでは済みません。世論が後押しすることで、多少強引でも逮捕に踏み切ってしまうこともあるようです」(前出・記者)

 とはいえ、6人中4人もの歴代大統領が逮捕に至るとは…。もう少し身を律していただきたい、と思うのは韓国国民だけではないはずだ。

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