【新シリーズ】マネーの急所(2)「床から干物臭」ヤバい賃貸物件の見分け方

 河栗店長は「渋谷区、港区、目黒区の値上がりが顕著」とした上でこう話す。

「足立区、葛飾区、江戸川区の下町エリアは土地の値段がそれほど上がっていないため、家賃は比較的安いと言えます。治安が悪いというイメージをお持ちの方もいると思いますが、実際の犯罪発生率を見ると、この3区はワースト10にも入っていません。個人的には江戸川区を走る都営地下鉄新宿線沿線がオススメ。他の路線に比べて混雑率が低く、余裕をもって通勤できると思います」

 さて、ここからは上級者編。過去に殺人や事故死などがあった物件は「事故物件」と呼ばれ、値引きされるのが通例だ。特殊清掃の現場で数多の死体と向き合ってきた、ルポライターの村田らむ氏が実例を挙げて注意喚起する。

「あまり知られていないのが、自殺や孤独死による物理的瑕疵。死体が何カ月も放置されると、そこから流れ出た大量の体液や脂が床下の断熱材にまで染み渡り、悪臭を放ち続けます。ひどい時には配線をショートさせるので要注意。いいかげんなオーナーや悪徳リフォーム業者も多く、うわべのフローリングだけを取り換えておしまいというケースがあるので、物件を内見する際は床に鼻を近づけてよ〜く匂いを嗅ぐこと。くさやの干物、もしくは生ごみのような腐敗臭がしたら、契約を見直すべきです」

 死体臭が漂う部屋ではとても眠れそうにない。

 住宅評論家・櫻井幸雄氏が別の「怖い物件」の一例を挙げる。

「とある格安物件の住人は、ちょくちょく視界の端で何かが動くのを感じながらも、『これくらいなら』とガマンしていたのですが、冬にコタツでうたた寝をして、ハッと起きたら手首に無数のひっかき傷ができていたそうで、慌てて引っ越したとか。過去に人が自殺をしたような事故物件でなくても、こうした現象が起きるのが怖いところです」

 では、告知義務がない「恐怖物件」を見抜く方法とは?

「ワケありの物件は下見の段階で大半の人が気づくもの。男性より女性の方が“異変”を察知しやすく、物件に足を踏み入れると、何だか居たたまれない気持ちになるそうです。入居してからでは手遅れ。引っ越すにも手間とお金がかかるので、もし格安物件を内見する際には、友人、親戚、どなたでも結構ですので、女性に付き添ってもらうことをオススメします」(櫻井氏)

 家賃という最大の固定費を圧縮し、物価高を乗り切るためにも留意したいところだ。

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