サッカーJ1横浜F・マリノスがハリー・キューウェル監督を7月15日付けで解任したことを発表した。今季J1の監督解任の第1号となった。
キューウェル監督は今季、鳴り物入りで就任した監督の1人。何しろ2006年W杯ドイツ大会では1次リーグでジーコジャパンに逆転勝ちしたストライカーで、どんな体勢からでもシュート打てる技術の高さから“オズの魔法使い”というニックネームがついた世界的な名FWの1人だ。
「何しろ全てが上から目線でした」
というのは横浜担当記者だ。リーグ戦第23節・対鹿島(7月14日・日産スタジアム)では4−1と快勝して連敗を4で止めたにも関わらず「シュートを打つなら枠内に打てといつも言っているんだ」と選手に対してダメ出しを連発。Jリーグの主審との相性が悪く、試合中に審判へ烈火のごとく抗議する姿が目立った。横浜の体たらくにサポーターがブーイングを連発すると「どうかと思う!」とこれにもダメ出し。完全に嫌われ者に成り下がっていた。
もっと問題なのは横浜のフロント陣だ。マリノス関係者が言う。
「社長(中山昭宏氏)は親会社からの天下りで来ています。要するにサラリーマンですから。それでも自分は神戸の三木谷オーナーと同じ立場と奮い立ち、監督も選手も補強も先頭に立ってスポーツダイレクターも兼任しています。社長のサッカー歴? 確か高校時代はサッカー部だったはずです」
今季の横浜にはもう余裕は全くなくなった。現在の順位は12位でJ2降格の18位とは勝ち点差7しかない。
「アタッキングサッカーでこの5年で2度優勝していますが、真夏のこの時期は走り負けしてガス欠になるんです」(前出・横浜担当記者)
スター監督の“上から目線”とサラリーマン社長の“思い込み”がアダとなったか、31年間1度もJ2降格がなかった横浜F・マリノスも今季は完全に尻に火がついている。
(小田龍司)