【中国】相次ぐ日本人刺傷事件 「台湾有事」で反日感情が爆発する在留10万人危機

 日本と中国との緊張関係が続く中、中国・江蘇省の蘇州で6月24日、日本人親子がナイフで刺される事件が発生した。蘇州日本人学校のスクールバスが下校中の生徒を乗せてバス停に到着した際、50代の中国人の男が所持していたナイフで生徒を迎えに来ていた日本人女性と一緒にいた子供2人をナイフで刺した。幸いにも2人は軽傷だったが、スクールバスに同乗していた中国人の女性も刺され死亡。犯人の動機など詳しいことは分かっておらず、在中国日本大使館は日本人に対して注意を呼び掛けている。

 だが、4月にも同じようなことが起こっている。蘇州市内の日本料理店が並ぶエリアで日本人男性が中国人とみられる男にナイフで切りつけられる事件が発生し、男性は軽傷を負った。この事件現場は今回起きた事件の現場から500メートルほどしか離れていない。中国政府やメディアはこの事件について当時一切報道しておらず、蘇州の日本領事館も注意の呼び掛けをしなかった。

 いずれの事件も犯人が日本人を意図的に狙っていたかは分からない。しかし、今後の日中関係の行方を考慮すれば、こういった事件が増加する可能性が高い。今日、南シナ海では中国海警局の巡視船によるフィリピン船への暴力が激化しているが、これが尖閣諸島周辺でも生じる可能性がある。最近、巡視船の中には機関砲などを装備したものも見られ、ここで攻撃が激化すれば日中関係は一瞬のうちに悪化し、中国市民の日本への反感や怒りが増発するだろう。

 2012年9月に当時の野田政権が尖閣諸島の国有化を発表した際、中国各地で反日デモが拡大し、パナソニックやトヨタなど日本企業のオフィスや工場が破壊され、日系スーパーやコンビニでは略奪行為が横行した。また、台湾情勢を巡って緊張が激化した際も、日本は米国と協力する形で中国と対峙することになるので、台湾有事の勃発はすぐに中国市民の反日感情をあおり立てることになろう。今日、中国には10万人あまりの日本人が在留するが、こういったリスクが常にあることを自覚しなければならない。

(北島豊)

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