今日、ドイツでは欧州のサッカー最強国を決めるEURO2024が行われており、日本のサッカーファンたちも眠れない夜を過ごしている。そして7月下旬からは、いよいよフランスのパリでオリンピックが開催される。
一方、その華やかなイメージの裏で懸念されるのがテロだ。EURO2024の開催国ドイツでは、どのスタジアムでも軍や警察による対テロ警備が厳重に行われている。日本のメディアではほぼ報道されないが、ドイツではEURO2024を狙ったテロを企てた容疑でイスラム過激派の関係者が逮捕されており、緊張感が漂っているのだ。
そしてパリオリンピックでは、日本サッカー男子はイスラエルと対戦することで、日本人がテロに巻き込まれるリスクが現実の問題となっている。日本はグループDに入り、パラグアイ、マリ、イスラエルの順で対戦する。日本の第3戦目、イスラエル戦は7月30日21時(日本時間31日4時)キックオフの予定だが、そのイスラエルへの批判が世界中から鳴り止まない。
昨年10月7日以降、イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃をエスカレートさせ、パレスチナ側の死亡者数は4万人に迫ろうとしている。それによってアラブ諸国を中心にイスラエルへの批判が広がり、トルコなどはイスラエルとの貿易を停止している。また、レバノンやイエメン、イラクやシリアなどを拠点とするイラン系の武装勢力はイスラエルへの報復活動を激化させ、イスラエル権益を狙ったテロも辞さない構えだ。
1972年にはドイツ・ミュンヘンで開催されたオリンピック期間中、パレスチナのテロ組織が選手村にあるイスラエル選手団の宿舎を早朝に襲撃し、人質を取って立て籠り、イスラエル選手ら11人が死亡する悲惨なテロ事件が発生している。パリが“第2のミュンヘン”になることを何としても避けなければならないが、今日の世界情勢に照らせば、日本サッカー男子の第3戦目はテロの恐れが極めて懸念されよう。
(北島豊)