パリ五輪「テロ懸念」が極限状態!続発する「反イスラエル」残虐事件

 フランスで12歳のユダヤ人少女が少年らから集団で性的暴行を受ける事件が発生、その一方でロシアでは3月に続き再び銃撃テロが発生した。これらを受け、間近に迫ったパリ五輪でのテロへの懸念が一段と強まっている。

 まずフランスで少女が被害にあった6月の事件だ。報道などによれば事件はパリ市内の公園で起きた。12歳の少女が少年3人に性的暴行を受け、事件後少年らは即座に摘発された。捜査当局関係者によれば、犯行時、加害少年らは被害者に反ユダヤ主義の侮辱的発言をしていたという。

 そして、もうひとつの事件はロシアでのテロだ。ロシア連邦に属するロシア南部ダゲスタン共和国では6月23日、教会や警察署が武装勢力に襲撃され、警察官やロシア正教会の司祭ら20人以上が死亡した。ロシア国家反テロ委員会は、襲撃犯5人を殺害したと発表した。

 これら2つの事件を受け、イギリスのメディア関係者は、こう懸念する。

「2つの事件は一見、何のつながりもないようだが、ともに昨年10月にイスラエルが攻撃され、その報復によりパレスチナ自治区ガザ地区で戦闘が始まりパレスチナ人4万人近くが犠牲になっていることに対する不満が根底にあると見られています。フランスの事件はガザ攻撃に反発する大人の怒りが子どもたちに影響した可能性も否定できない」

 メディア関係者はこう続けた。

「そして、もうひとつのロシア南部のテロです。イスラム教徒が多数派を占めるダゲスタン共和国では、去年10月、イスラエルからの旅客機が空港に到着した際、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃に抗議する若者たちが空港に乱入する事態となり、当局が警戒を続けていた。6月に入り立て続けに起きた2つの事件で懸念されるのは来月からのパリ五輪でテロが起きないかだ」

 実際、過去のオリンピックのテロといえば1972年のドイツ・ミュンヘン五輪で、パレスチナの過激派組織「黒い9月」がイスラエルに捉われていたパレスチナ人の解放を求めた末に、イスラエル選手団の宿舎を自動小銃や手榴弾などを持って襲撃、イスラエル選手11人が殺害される被害が発生している。

 もちろん、フランス政府も最高レベルの警戒を続けている。五輪期間中はフランス当局だけでなく、ポーランドやドイツなど周辺国も警備のために警察官をフランスに派遣するという。フランスが配するのは軍関連で約4万5000人、警察官3万5000人、民間警備員も約2万人が動員され、そして世界最高峰といわれるフランス対テロ特殊部隊GIGN(フランス国家憲兵隊治安介入部隊)の387人が目を光らせる。

 ドローンなどの新鋭兵器によるテロなどを想定した警備訓練も繰り返される。また、テロの可能性の芽を摘む事前警備も厳重を極めている。これにより、5月にはパリ五輪を標的としたテロを計画した容疑でチェチェン出身の18歳の男が逮捕された。男はイスラム過激派ともコンタクトを取りつつ五輪中、サッカー会場でテロを行う計画だったという。

 とはいえ、パリ五輪テロの不安は完全にはぬぐえない。世紀の祭典が暗転しないことを心から祈る。

(田村建光)

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