パリ五輪で91個のメダルを獲得した中国をピリピリさせる「ドーピング疑惑」の一部始終

 アメリカの大統領選挙の行方は、カマラ・ハリス副大統領が登場して以来、潮目が大きく変わっている。

 支持率は拮抗し、共和党は副大統領候補にJ・Dバンス上院議員を立てたが、女性蔑視的な過去の発言が批判のやり玉に上げられている。一方の民主党はミネソタ州知事のティム・ワルツ氏を副大統領候補に立てた。

「ワルツ氏は元教員で、若いころに中国で教師を務めていた経験もある。とはいえ、対中国の姿勢は厳しいことでも知られています。夫人との結婚記念日が6月4日なのですが、この日は天安門事件があった日。事件から5年後に、敢えてこの日を選んで結婚したのです」(国際部記者)

 そんなことから、ハリス氏が勝利した際には、ワルツ氏が対中外交で手腕を発揮するという見方もあるようだ。

「一方、トランプ氏も対中国の強硬姿勢はよく知られています。中国にとっては、ハリス、トランプ両氏のどちらが政権をとっても難しい状況に変わりはないのです」(前出・記者)

 もっとも、中国にとってピリピリする事態は政治の世界に限らないらしい。パリ五輪では40個の金メダルを含め計91個ものメダルを獲得した中国だが、その五輪の場でも、なにかと疑問視されているのだ。

「アメリカ競泳界のレジェンドでメダル王のマイケル・フェルプスは、『ドーピング検査で1度陽性反応が出た選手は、大会に出場させるべきではない』と語っています。これは、21年の東京五輪の7カ月前に、中国の選手23人がドーピング検査で狭心症を防ぐ薬物が検出されて陽性反応が出たにもかかわらず、問題なしとされ、出場したことからくすぶっていた問題です」(スポーツ紙記者)

 中国側は「検体の汚染が原因」と主張し、世界反ドーピング機関(WADA)もこれを認めたことから「問題なし」となったのだが、フェルプスはWADAの姿勢にも疑問を呈していた。

 そして、このフェルプスの発言に猛烈な反論をしたのが、女子200メートルバタフライで銅メダルを獲得した中国人選手だ。彼女は「中国の選手は好成績を出すとなぜ疑いをかけられるのか」と語り、さらに、「金メダルを獲得したフェルプスはなぜ疑いをかけられなかったのか」と、抗議の意を表している。

 政治の世界では米政権による厳しい姿勢と対峙しながら、スポーツの世界では一向にドーピング疑惑が収まらない…。最高潮に達した中国の「ピリピリムード」は、いましばらくは続きそうだ。

(猫間滋)

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