米では「危機的状況」日本でもSNSに「健康被害警告」表示が義務付けられるのか

 米厚生省のビベック・マーシー医務総監が6月17日、SNSが子どもの心の健康を脅かしていることから「警告表示」を義務付けるべきだと提言した。

「マーシー医務総監はこれまでもたびたびSNSが若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすと訴えてきましたが、17日の米ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、『若者の精神衛生はSNSによって危機的状況である』と指摘しています。SNSの健康リスクはアルコールと同じくらい根が深いとして、これらと同じように健康被害を警告する表示をSNSアプリにも義務付ける法案を採用するように、議会に対して求めているのです」(ITライター)

 10代の若者たちがSNSを1日3時間以上利用するとうつ病や不安障害の発症リスクが2倍になるというデータもあるが、米コンサルティング会社の調査によると、若者のSNS利用時間は1日約5時間だったことがわかっている。こうした状況を受け米33州や、今年2月にはニューヨーク市が若者の心の健康に悪影響を与えるとしてSNSを運営するIT企業を提訴しているものの、SNSへの利用規制などはおこなわれていないのが現状だ。

「若者のSNS利用はうつ病や不安性のみならず自殺との関連性も指摘されており、よりインパクトのある対応が必要だと考えられています。その一つとしてビベック・マーシー医務総監が推しているが『警告表示』で、アメリカでは現在、アルコールにこの表示が義務付けられている。SNSについても法案が通過すれば、例えばアプリを起動させるとショッキングな画像が表示されるようになるかもしれません」(医療ジャーナリスト)

 ちなみに、22年消費者庁発表の調査資料によれば、若者のSNS利用時間は4割が1日3時間以上。日本でもいずれ「警告表示」の対象になるかもしれない。

(小林洋三)

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