ロシアのウクライナへの軍事侵攻後、日本とモスクワやウラジオストクを結ぶ直行便は未だストップしたまま。外務省の海外安全情報でもウクライナ国境地帯が危険度レベル4の退避勧告、それ以外の地域も渡航中止勧告の危険度3に引き上げられており、旅行会社のツアーもまったく催行されていない状況だ。しかし、そんな事実上の渡航制限が設けられている中でも今年8月以降は少しずつではあるがロシアを訪れる旅行者が増えているようだ。
「実は、8月から日本を含む52ヶ国を対象にロシアの電子ビザの取得が可能となり、訪問が容易になったことが大きな理由です」(ロシア事情に詳しいジャーナリスト)
ちなみに申し込みはロシア外務省の専用サイト、またはアプリから行い、発行手数料は51.4ドル(約7450円)。有効期間は入国から16日間となっている。だが、ビザが発給されてもロシア国内では経済制裁の影響で我々が日本国内で使っているクレジットカードはすべて使えない。そのため、現地では現金決済が必要だ。
「ただし、持ち出しが認められている日本円は10万円分。ロシアへの渡航者は、空港で事前に税関職員から個別に説明が行われます。そのため、10万円分以上の現金を持っていく場合は、あらかじめドルやユーロなど外貨に換えておく必要があります」(旅行誌編集者)
また、飛行機も現在は直行便がなく、中国や中東、トルコなどで乗り継いで向かわなければならない。宿泊先についても大手旅行サイトからのホテル予約は不可能。しかも、ビザ申し込み時に滞在先情報の入力が必要で、現地に着いてから探すことはできない。
「宿泊先に関してはホテルの公式サイトを探し、そこから直接申し込む形になります。多少面倒ですがロシアはホテル料金の相場も物価も安く、高級ホテルでなければ一週間程度の期間なら現地滞在費を含めても10万円でお釣りが来ます。航空券も中国の航空会社なら時期にもよりますが、ヨーロッパ行きの半値やそれ以下で行くことも可能です」(同)
現金の制限もあり、ホテルも現地で選べない。ロシア旅行が敬遠される理由だが、最近は複数の旅行系ユーチューバーがロシアを訪問。実際に空港での出入国をはじめ、戦争中とは思えないモスクワ市内の様子などをレポートしている。確かに、物価の安さは魅力とはいえ、まだ情勢的に旅行をオススメできる状況ではない。旅行を計画する場合は、くれぐれも自己責任で。