「VIVANT」“別班”の正体とは!? 途轍もない日本の秘密組織(3)ロシア、中国が跋扈!防諜活動のリアル

 気になるのは活動費用だ。「VIVANT」では、外事警察の野崎が「外交官」の肩書で金をバンバン使っていた印象を受けるが、

「実は大使館には外交機密費といって、ある程度の額なら各大使の裁量で使えることになっているのです」(勝丸氏)

 しかし、大使館の金にも限度がある。そこで浮上したのが別の資金ルートだ。

「内調(内閣情報調査室)などから何か特別なミッションを請け負っていれば、警備局を通じて活動費を調達する可能性も考えられます。確証はありませんが、その出所は内閣官房報償費(官房機密費)かもしれません。しかし、ある程度の活動費を使うのも、すべては国家の治安維持のため。公安警察は健全な愛国心のもとに行動していますし、よほどの実績がないと、そうした特命は降りてこない。そもそも『領収書がいらない? じゃあ風俗行くか』なんて輩が公安警察に採用されることはないでしょう」(勝丸氏)

 一方、国内に目を向ければ、ロシアや中国のスパイが自衛隊や企業の機密情報を盗み出そうと秘密裏に 跋扈。日夜、水面下で情報戦を仕掛けてきている。

 今年6月には国の研究機関に勤務していた中国籍の男が、研究データを中国企業に送信したとして、警視庁公安部に逮捕(不正競争防止法違反の疑い)され、20年にソフトバンクの元社員が起こした情報漏洩事件では、ロシア軍直轄のスパイ組織「GRU」の関与が取り沙汰された。

 山田氏は危機感をあらわにこう語る。

「問題は、日本国内で『外交官』の仮面をかぶって活動するロシアや中国のスパイ、その協力者たち。日本にはスパイ活動を取り締まる法律がないため、周囲の情報漏洩を摘発していくしかないというのが現状です」

 スパイ天国と揶揄される日本で、公安警察はスパイ活動の防止に日夜奔走しているが、

「電波の傍受や盗聴、GPSを用いた諜報活動はシギント(シグナルインテリジェンス)と呼ばれ、海外の諜報機関や警察では常套手段となっていますが、日本では禁止されていたり、制約が設けられています。一方で世界的に評価されているのが、防諜活動の人物観察や尾行、潜入など、いわゆる足を使った情報収集と言われています。今から23年前、ロシアの駐在武官に機密情報を渡した海上自衛隊の幹部が逮捕されましたが、データの受け渡し現場となったカフェで待ち構えていたのは〝客役〟を含めてほぼ全員が公安警察だったという話もあります。人間の研ぎ澄まされた感覚、経験をもとにした捜査では一日の長があると言えます」(山田氏)

 テロやスパイ行為撲滅のため、別班と公安警察の競合はこれからも続きそうだ。

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