最強地元企業にセブンイレブンとローソンが三つ巴「北海道コンビニ戦争」勝つのはどっちだ!

 8月に日本最北端の街、北海道・稚内市にローソンが新たに2店舗を出店したことが話題となっている。

 開店日の8月1日付けの毎日新聞の記事のタイトルはなんと「市民の悲願」。確かに、全国大手のコンビニはこれまで100キロ以上離れた地にしかなかったといい、「2店に100人行列」したというのもうなずけるのだ。

 実は、ローソンはこのところ北海道の出店に積極的だ。6月には2店舗、7月に3店舗、そして8月にはこの稚内の2店舗を含めた5店舗を出店する。加えて稚内には、年内にさらに2店舗を追加することを同社は明かしている。

 そもそも稚内にはコンビニがなかったわけではない。「全国大手」のコンビニがなかっただけで、コンビニそのものはあった。北海道コンビニの雄とも言える「セイコーマート(セコマ)」がそれだ。北海道はこのセコマの牙城だっただけに、ローソンの一気呵成ともいえる複数出店が目立つのだ。

「意外なようですが、実は北海道は人口10万人当たりのコンビニ店舗数が、20年の国勢調査の数字で47都道府県で一番多かったのです。その中でも地元企業のセコマは道内149市町村の9割に出店していて、シェア36.2%でトップです。ちなみに北海道のコンビニ各社の店舗数は、セコマが1000店超で、次にセンイレブンが1000店に及ばず2位、以下、ローソンが700弱、ファミリーマートが250弱で続くといった具合です」(経済ジャーナリスト)

 つまり、北海道のコンビニの勢力図は、これまでセコマとセブンイレブンの2強だったのだが、そこに今回、ローソンが積極策に打って出ている、という構図である。まさに「北海道コンビニ戦争」とも言える事態が勃発しているのだ。もちろん、セコマも黙ってはいない。

「セコマは7月25日に、稚内市と包括連携協定を結んでいます。コンビニは物流の重要な拠点でもあるので、04年には災害時の物資供給協定を締結していましたが、平時の物流でも関係を強化しようというものです。ローソンが新店舗を開く直前の時期に協定を結んだことには、セコマの『本気度』が強く表れていると言われています」(前出・ジャーナリスト)

 攻めるローソンも準備に怠りはなかったようで、22年にはセブンイレブンやファミリーマートとともに、それぞれの物流センターやチェーンとの共同物流の実証実験を行っている。

 利用客にとってコンビニの出店は喜ばしいことだろうが、その裏では、各社の熾烈なせめぎ合いが展開されているようなのである。

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