麻生氏の発言を、政治ジャーナリストの安積明子氏も同じように見ている。そして、こう付言する。
「麻生さんの理想は大宏池会を完成して、自身がキングメーカーになることではないでしょうか」
捲土重来を期しているのは菅氏も同様だ。自身の再登板はなく、今後の政局を見越して「ポスト岸田」の候補者作りに余念がない。
「菅さんは昨年、自らの政権で掲げた政策を実現するための勉強会を立ち上げる予定でしたが、安倍さんの死去で先送りしていました。その菅さんが動き始めたわけですから、今後はその勉強会を立ち上げ、いろいろな派閥から集まった人で緩やかな菅グループを結成、ポスト岸田の人選に入るでしょう」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
すでに、候補者として具体的な名前も挙がっている。元参議院議員で永田町の裏表を知り尽くす平野貞夫氏がこう話す。
「菅氏が国民人気のある河野太郎デジタル相(60)を担ぐかもしれない。が、河野氏に対する評価は賛否が分かれるところ。石破茂氏(65)も機会をうかがっている。ただ、誰が担ぐのか。担ぐとすれば麻生氏と菅氏だが、この2人は犬猿の仲というから世の中はうまくいかない」
実際、菅氏の勉強会参加を巡って、水面下でさまざまな駆け引きが起きている。表向きは穏やかな永田町だが、権力闘争は絶えず続いている。では、このバトルが表ざたになるのは、いつになるのか。
「まずは予算を通したら、すぐに統一地方選になる。この辺りで、ヘタな動きはできません。何かあるとすればやはり、サミットで岸田総理が晴れの舞台を迎えたあと、それまでの総括が行われるタイミングでしょう。岸田総理にしてみれば、それまでに政権支持率を上げておきたい。解散総選挙のカードを切ることができますからね。一方、支持率が上向かないようであれば、岸田総理の花道論が出てくる可能性もある。いずれにしても解散含みの政局に突入するのでは‥‥」(鈴木氏)
どうにも国民だけでなく、安倍元総理の遺志もそっちのけの争奪戦になっている。故人は草葉の陰で泣いているに違いない。
*週刊アサヒ芸能2月2日号掲載