【日テレvs旧統一教会】因縁バトルが再燃していた(1)きっかけは「ザ!世界仰天ニュース」

 今から約2年前、旧統一教会に恨みを募らせた男が、演説中の安倍晋三元総理を銃撃し、死に至らしめた。その後、事件は様々な社会問題を浮き彫りにしていく。「宗教二世問題」「自民党と教団との蜜月」‥‥そして「メディアとカルトの関係」も、その1つであろう。先頃、ある番組を契機に日本テレビと教団の〝因縁バトル〟が再燃していた!

 渦中となった番組は、8月13日に日本テレビ系で放送された「ザ!世界仰天ニュース」。世界各国で起きた事件・事故を再現ドラマで紹介し、MCの笑福亭鶴瓶(72)と中居正広(52)をはじめゲストがトークを展開するドキュメントバラエティーだ。23年続く人気長寿番組でもある。

 この日は「2時間SP」として、メインに据えたのが「安倍晋三元総理銃撃事件」─。この事件は22年7月に起きた。奈良市で選挙演説中の安倍元総理を、山上徹也被告(事件当時41歳)が自作の散弾銃で射殺。背景には、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の存在があった。山上被告の母親が教団にのめり込み一家離散。恨みを募らせた山上被告が教団と関連が深かった安倍元総理を狙ったというものだった。

 この事件を巡っては、「週刊文春」が「疑惑の銃弾」と題してキャンペーンを展開して、いまだ残る謎を指摘。また、ネット界隈では陰謀論まで飛び出すなど、依然として世間の関心は高い。そのせいか、同番組はよほど気合いが入っていたのだろう。放送前から「なぜ、その場所だったのか。安倍氏はなぜ狙われたのか」(公式HPより)とガンガンに煽った。

 それだけに、オンエアを観たスポーツ紙放送担当記者からは溜息が漏れた。

「冒頭で警察の報告書に基づいた再現ドラマと断ったのは、判決どころか公判も始まっていない事件ですから理解できます。それにしたって、ほぼすでに報じられた内容で、特に新鮮味があるものではなかったですね。もちろん、山上被告の同級生に取材したり、裁判で認められた旧統一教会の霊感商法の実態を再現するなど、攻めた部分はありましたけど、ゲストトークの部分でやらかしてしまった‥‥」

 それは、MCの中居が「こういう宗教によって、本当に助かっている団体もあって、人たちもいるんですねよね?」とゲストに話を振った場面だ。これを受けたヒロミ(59)が「それは間違いなくいると思うし、今でもその統一教会でも、別にそう思ってる人もたくさんいるだろうし」と返答。その際、画面には〈教団に救われた人もいる〉と特大のテロップが映し出されていたのだ。

「これで、放送直後からSNSが荒れました。『救われているんじゃなくて洗脳されているだけ』とヒロミへの批判もあれば、『あくまで信者の気持ちを代弁しただけで、テロップが教団への忖度にしか見えない』など非難の嵐です。旧統一教会問題を風化させないことに一役買ったとはいえ、番組の作りが杜撰でした」(放送担当記者)

(つづく)

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