次に、グループ2位に2チーム以上が勝ち点で並び、複数点差以上の勝利が求められる場合。ただ勝つだけではなく、より攻撃的な布陣で勝負に出なければいけない、というケースだ。元浦和レッズの水内猛氏が言う。
「基本的な戦い方は変えないほうがいい。ただ、三笘薫(25)はぜひスタメンで使ってもらいたいです」
日本のフォーメーションで左WGでの起用が見込まれる三笘だが、負傷から回復の途上ということもあって、開幕前の段階では同ポジションで久保に次ぐ序列2位と見られる。後半途中からのジョーカー的起用が本線とも言われるが、
「三笘の突破力のあるドリブルは、英プレミアリーグでも通用しています。勝負をかければ、相手DF(ディフェンダー)もファウルやコーナーに逃げることが出てくるはず。相手に危険な位置でFK(フリーキック)を得たり、CK(コーナーキック)のチャンスが生まれます」(水内氏)
チーム全体の身長やフィジカルコンタクトの強さだけで見れば、日本はスペインと同じレベルか、やや優勢。前ロシア大会でも日本はコロンビア戦でCKから決勝点をもぎ取っており、三笘の起用は直接的にも間接的にも得点機が増えるというのだ。また、サッカージャーナリストの六川亨氏はGKの起用にも言及する。
「勝ちに行く場合は、権田よりもシュミット・ダニエル(30)を推したいです。守備面では197センチの高身長でゴール前の制空権を奪えますし、正確なキックで攻撃の起点にもなれるので、得点チャンスを演出できます」
わずかな差でも、より攻撃的な選択を取る必要がある。それが「守護神の交代」なのだ。六川氏は続けて、さらなるウルトラCを提案。それは、
「南ア大会の本田圭佑(36)のように、南野拓実(27)を『ゼロトップ』で起用する、というのはありだと思います」
ゼロトップとは、本来FWではない選手をワントップの位置で起用する戦術だ。前線でボールを待つだけでなく、時には中盤に下がってゲームメイクに参加したりもする可変的なポジションである。
「南野は、相手にとってより危険なエリアでプレーすることで生きるタイプ。単純なトップ下のポジションでは、すぐに潰されてしまって良さが出ません。逆にペナルティエリア内での得点センスや落ち着きは、前田よりも優れています」(六川氏)
久保・前田に代えて三笘・南野を先発させるのは、守備のリスクも増える。最終的には守りを度外視して、守田英正(27)や遠藤航(29)に代えて決定的なラストパスが出せる柴崎の起用も考え得る。ワールドカップでは、時にイチかバチかの勝負も必要なのだ。
*週刊アサヒ芸能12月1日号掲載