なんとか「国葬」を乗り切ったかに見える岸田内閣だが、始まったばかりの秋の臨時国会では、懸案の旧統一教会との関係を追及されて火だるま炎上となるのは必至。
その最初のターゲットとなったのが、衆院本会議場中央でニラミを利かす細田博之衆院議長(78)だ。
細田氏は19年の関連団体イベントで「韓鶴子総裁の提唱のおかげ」など、賛美する動画が流出しながらも、自民党の全党「点検」では、党籍を抜ける衆院議長という立場から、その対象から外れていた。その後、マスコミに追及されると、会合への出席を認めた上で、しぶしぶ「今後は関係を持たないよう適切に対応して参りたい」とA4の紙っぺら一枚を公表。説明不足とこれがまた新たな火種となっているのだ。
「振り返ると、『政治と旧統一教会』問題が注目されたのは、銃撃(暗殺)事件から10日後の青山繁晴参院議員のブログだった。『所属する派閥の長から(旧)統一教会の選挙の支援を受けるようにと指示された』という投稿で、その後、青山氏が固辞したことで、別の議員に割り振られたという内容だった。そのため、その差配は安倍元総理によるものだとされてきた」(デスク)
しかし、事実は違うと、ジャーナリストの鈴木エイト氏が説明する。
「青山氏の話は16年の参院選でのことを指している。当時、私も別の議員の関係者から『ある議員が断ったので宮島喜文氏に旧統一教会票が行った』という話を聞いており、この話と合致します。しかし、当事の清和会の派閥の長は細田議長で、票を差配したのも細田議長ということになる。そもそも、細田議長は90年に統一教会の政治団体・国際勝共連合の機関誌『思想新聞』に勝共推進議員として名前が出ており、当時から関係を持っていたと見るべきです」
今年の参院選では、元秘書を務めた井上義行氏に教会票を集めて当選させたのが、ほかならぬ安倍元総理だったと言われている。だが教団票の差配は安倍・細田2氏で共同して行われてきた可能性が高いのだ。
「党内最大派閥の清和会(安倍派)は、21年に安倍会長になる前は細田会長だった。派閥に教団票を持って来たのは安倍さんで、細田さんは派閥内で誰に票を割り振るか、という差配を行っていたのではないか。『政界で隠然たる力を持つには、宗教票を持っていないといけない』、これは周知の事実なのです。細田さんは参院選前に女性記者への性的ハラスメントが報じられるなど、お盛んぶりが有名でしたが、自分の手下になる議員を当選させることはトップに上り詰める上で非常に重要です。三権の長である衆院議長にまで上り詰めたのは安倍総理の力のほかに、宗教票を握っていたことが大きかった」(デスク)
今年2月に逝去した石原慎太郎元都知事は、参議院選の出馬前、産経新聞社主の水野成夫氏の紹介で霊友会・小谷喜美会長と出会い、教団票を無心したエピソードを明かしている。
「二十万くらいは頼めませんかね」
「あら、そんなものでいいの。そんなこと言わず全部出してあげるわよ」
(『「私」という男の生涯』(幻冬舎)より)
政治と宗教は表裏一体の関係なのだ。
*週刊アサヒ芸能10月13日号掲載。(3)に続く