「バッジを外せばタダの人」森喜朗氏の崖っぷち/永田町の「黒い顔役」たち(3)

「派閥争いよりも政策だ」と、正面突破で乗り切ろうという構えの岸田総理だが、肝心の議長が旧統一教会系となると、刃を研ぐ野党がおいそれと法案審議に応じるとは思えない‥‥。

「そもそも、お盆前に急遽行った改造内閣こそ失敗の始まりだった。教団との関係のある閣僚7人を取り換えながら、改造内閣では新たに8人が関係を持っていたことが判明する杜撰ぶり。さらに最悪だったのが萩生田光一経産相(59)を政調会長にスライド登用させたことです。発案者は萩生田氏を安倍派の後継者に推す森喜朗元総理(85)だった」(デスク)

 果たして、すでに政界をリタイアした森氏が政権中枢部に手を突っ込めるのはなぜか。

「安倍さんが亡くなった後、清和会は塩野谷立前総務会長、下村博文前総務会長、高木毅国対委員長、西村康稔経産相、松野博一官房長官、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長の7人集団指導体制となった。90人を超える大所帯が空中分解しなかったのは、後見人であるOBの森さんが背後にいたからだと言われている」(デスク)

 依然として森氏の政界における影響力は絶大だというのだ。その権力の源泉について語るのはスポーツ紙アマチュア担当デスクだ。

「総理時代は、度重なる失言でサメ脳などと揶揄されて失脚した森さんですが、その後、現在のような実力者に返り咲くことができたのは、ズバリ、スポーツ利権を手に入れたからです。05年から6年間、日本スポーツ協会の会長を務め、その後は顧問職でラグビーW杯や東京五輪などのビッグイベントを誘致し、役得にあずかっている」

 しかし、8月中旬にタッグを組んだ東京五輪組織委の高橋治之元理事(78)が五輪汚職で逮捕。森氏も東京地検特捜部に複数回の事情聴取を受け、崖っぷちの身だ。

「特捜部は27日に高橋元理事を3度目の逮捕に踏み切るなど、本気で追い込んでいる。すでに国会議員ではない森氏に対し、『バッジを外せば、ただの人』とばかりに、どこまでも追い込む覚悟です。スポーツ利権は従来、スポーツを振興する文科省に帰属している。その文科相のポストは代々清和会が牛耳ってきましたが、ついに、その利権が根こそぎ剥ぎ取られることになるかもしれない」(アマチュア担当デスク)

 誘致から開催後まで、常にトラブルに見舞われて、〝呪われた五輪〟となったのも、このスポーツ利権に群がる百鬼夜行が暗躍したからともっぱらなのだ‥‥。

*週刊アサヒ芸能10月13日号掲載。(4)に続く

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