プーチン大統領を国内外から追い詰める、「反ロシア義勇軍」。アメリカの電気自動車会社・テスラ社のCEOである大富豪、イーロン・マスク氏もその一員だ。ITライターの井上トシユキ氏によると、
「自身が手がける宇宙開発企業・スペースX社の人工衛星を利用した高速インターネットサービス『スターリンク』をウクライナ側に提供しました。これで基地局などが破壊され、不安定だったウクライナ国内の高速インターネット利用が可能になりました」
ウクライナは「東欧のシリコンバレー」と呼ばれ、政府はIT産業の発展に力を注いできた。井上氏が続ける。
「イーロン・マスク氏を頼ったのはウクライナ副首相でもあるデジタル担当大臣のアイデアだとか。これで各国へのメッセージ中継やロシアからのサイバー攻撃の防衛など、情報戦の部分で優位に立つことができたと言われます」
加えて、山田氏はこんな見方を披露する。
「昨年のノーベル平和賞を受賞したのは、政権批判も辞さないロシアの独立系新聞の編集長、ドミトリー・ムラトフ氏でした。また今年5月には、優れた報道を称える米・ピューリッツァー賞で、不特定多数の『ウクライナのジャーナリストたち』が特別賞を受賞しました。これらは世界が意図的にロシアに対してプレッシャーをかけている証左と言えるでしょう」
政治とは切り離して考えられることの多いスポーツの世界でも非難の声は鳴りやまない。スポーツライターの飯山満氏によれば、
「いち早くワールドカップ予選からロシア代表を排除したサッカーや、ロシアが強化に力を入れるフィギュアスケートを筆頭に、卓球やトライアスロン、カーリング、ボート、カヌー、射撃などが国際大会でのロシア参加を認めない旨を表明しました。ロシアの各競技連盟はスポーツ仲裁裁判所にこれらを『不当な決定』として訴え、それが受理されたケースもあるようです」
メンツを潰されたのが、国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長だ。ウクライナ侵攻で北京の冬季パラリンピックに泥を塗られた怒りは察するに余りあるが、
「開幕を2日後に控えた3月2日には、『我々は平和を支持する』と、強硬な姿勢を示し、ロシアとベラルーシの選手に国際パラリンピック委員会から出場禁止処分が下されました。ロシアが謝罪し、非を認めない限り『出禁』は解けないでしょう。10年単位で『オリンピック追放』の措置が取られるのではないでしょうか」(飯山氏)
もはや四面楚歌のプーチン大統領。「手負いの虎」ほど怖いものはないというが、果たして‥‥。
*「週刊アサヒ芸能」5月26日号より