現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。16年の「真田丸」以来、6年ぶりに三谷幸喜氏が脚本を担当し、大河らしい豪華なキャストとなっている。
そんな中、物語序盤から主人公の北条義時(小栗旬)に負けない存在感を放っているのが大泉洋演じる源頼朝。第1話の女装での逃亡シーンは視聴者に強烈なインパクトを与え、三谷作品らしいユーモアたっぷりの演出もあってか従来の冷徹な人物像とは別キャラかと思えるほどだ。
それでも4月17日放送回での上総広常(佐藤浩市)を御家人たちの前で粛清したシーンは彼の冷酷さを象徴するエピソードが描かれた。だが、ツイッター上では「頼朝嫌い」と並んで「全部大泉のせい」という謎のワードもトレンド入りしている。
これは撮影現場で小栗が着けていたマスクに書かれていた言葉。本人がゲスト出演した番組で語っているが、「視聴者は大泉さんのせいでせっかくシリアスなシーンが台無しになったとの皮肉を込めて投稿している」と指摘するのはテレビ誌ライター。ただし、批判というよりは愛のあるイジりやツッコミで、彼が出演する作品ではよくあることとか。
一方、歴史研究家など専門家たちの間では、本作品での頼朝の評価は決して悪くない。そもそも武家で最初の幕府を開いた偉人なのにここまで人気がないのは、弟の源義経を討った影響が大きいと明かす。
「平泉で壮絶な最期を遂げた義経は“悲劇のヒーロー”として認知されていますが、これは後世の創作による判官びいき。実際には組織の上役だった頼朝の指示をたびたび無視し、かなり野心的な人物でした。もちろん、頼朝にして非情な一面もあったにせよ同時に情に厚く、人たらしな部分もあった。そういう意味では史実に忠実とも言えます」(歴史学者)
大泉の頼朝は、むしろハマリ役なのかもしれない。