「ウソでしょ」「モヤモヤ」「何それ?」から、しばらくすると「英断」「勇気」「未来」…そんな漠然としたポジティブワードがネット上を支配することに。
4月17日、ZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ対日本ハム戦。1週間前の10日に完全試合と奪三振タイ記録を達成したロッテの佐々木朗希が、この日も8回まで1人のランナーも出さず、球場とお茶の間は「まさかの2試合連続でやっちゃうの?」「世界初じゃないか」などとソワソワ感が充満したのだが…。
「この17日は、テレビ東京が緊急生中継。なので、普段は野球を見ないような人たちも佐々木のパーフェクトピッチングを見守っていました。問題は、ロッテ打線が無得点だったことですが、それでも多くの視聴者は9回までは佐々木投手が投げ切ると考えていたはず。ところが、球数102球で井口監督がベンチを出て交代を告げました。仮に9回表を抑えてサヨナラ勝ちすれば、空前絶後の2試合連続完封だっただけに、SNS上は『ウソでしょ?』『モヤモヤする』などの書き込みが続出。CS放送の実況でもアナウンサーが『何かモヤモヤしてるんですが…』と本音を漏らして、ゲスト解説者の元ロッテ・清水直行さんを困らせていました」(スポーツライター)
しかし、そうした戸惑いの声も時間が経つにつれ、佐々木投手の未来のための「英断」という言葉に置き換わっていった。OBや解説者も「井口監督の勇気ある決断」と口を揃えたが、その一方で「だからプロ野球はつまらなくなった」「あと1イニング投げただけで未来が壊れるとは思えない」などの苦言があったことも事実である。
「とにかく最近は高校野球などの影響もあり、投手の球数制限ということに過剰に反応する人が増えていることは間違いありません。ですから今回も、佐々木投手の降板に賛成している人が圧倒的多数。賛成の意見としては『佐々木の体のほうが大事』『目先の1勝より大投手の未来』『これを批判してる人は木を見て森を見ず』など、まるで保護者目線というか、漠然とした教育論的なコメントが目立ちます。一方でネガティブ意見には『最近流行りの英断という言葉が大嫌い』『OBたちが本音も言えないのも本当にダメ』『プロ野球が過保護過ぎてつまらない』などとともに、『(試合にも負けて)これでロッテファンは楽しいの?』と、ファンに疑問を投げかける声までありました」(前出・スポーツライター)
今回は、その後ロッテが勝てなかったこともあって、おおむね「英断」で収束する様子。でも、打者27人で全員が三球三振としても合計で81球は必要。本当にこのまま100球で打ち止めがデフォルトなら、佐々木投手の記録も勝利も、ファンが期待するほど伸びないのでは?
(飯野さつき)