6月8日に公開されたオールスター戦ファン投票の中間発表。パ・リーグ先発投手部門では、千葉ロッテの佐々木朗希が2位のオリックス・山本由伸を5万票近く引き離して1位につけている。4月10日の完全試合のインパクトが残っているだけに、「球宴の主役」となるのは間違いないだろう。
「このぶんだと、全体の得票数でも1位になる可能性も出てきました」(ベテラン記者)
しかし、佐々木は“球宴のグラウンド外”でも注目を集めそうだという。
去る6月2日、プロ野球選手会はオンラインによる日本野球機構(NPB)との事務折衝を行った。メインテーマは今季中の実現を目指す「現役ドラフト制度」についてだったが、そのほかにNPB側が回答に窮する難題もあったという。
「この日の事務折衝に先駆けて、選手会は質問状を郵送していました。NPBの担当者から質問の主旨を確認する場面もあったといいます」(球界関係者)
その質問状とは「審判員に関して」。選手会側は「審判員との関係改善のため」と称し、審判員の技術向上に向けて取り組んでいる様子を知りたい、また、それを全選手に理解させたいと伝えてきたそうだ。
一歩引いた物言いだが、本心は審判団に言いたいことがあったのはミエミエ。そう、4月24日のオリックス対千葉ロッテ戦で、佐々木が球審に詰め寄られた“事件”が背景にあるのだ。
「ルール上、マウンドを下りたらストライク・ボールの判定に不服を表したことになります。でも、球審が詰め寄るような必要があったのかどうかは、意見の分かれるところ。同試合中、ボールを交換する際、球審が佐々木と目も合わせずに放る場面もありました」(同)
この“詰め寄り”の一件は、普段野球を扱わないワイドショーにも取り上げられた。騒動が一人歩きしてしまったせいだろう。先のボール交換での一幕も伝えられ、佐々木に味方する意見が増えている。
「NPBとして回答を出したようですが、選手会はその回答に対する結論を保留しているようです」(同、8日時点)
選手会は球宴前に、臨時総会を開催するのが恒例となっている。ここでも「審判員の技術向上に向けた取り組み」が取り上げられるのは必至。佐々木は1位選出されたとしても、オールスターゲームに集中できないかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)